「反日が反共に!」暴動大国中国の病巣人民もバカではなかった。デモに「腐敗官僚を倒せ」の横断幕が出現!

2010年11月06日(土) FRIDAY
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 だが、宝鶏のデモの2日後に起こった重慶でのデモには体制批判の横断幕やプラカードは見られなかった。この点について、北京大学への留学経験を持つジャーナリストの富坂聰氏が説明する。

「重慶には日本総領事館があり、他の都市よりも警備がはるかに厳重だったため、デモ参加者は当局批判を控えたのでしょう。しかし、本音は一緒です。富の分配がうまく機能していない中国では、若年層が将来に希望を抱けない。中国で今年大学を卒業した学生は710万人いましたが、そのうち就職できたのは約60%に過ぎないんです」

 いずれのデモでも参加者の大半を占めた大学生たちが、これまでのように共産党一党支配に諾々と従うのではなく、敢然とNO! を突きつけたのだ。

 しかしながら、当局も前もって厳しい規制に乗り出していた。大学を封鎖して学生の外出を制限し、それでも参加した者は除籍処分にすると警告。デモの主導者が拘束されたとの情報もネット上を駆け巡った。今後さらに弾圧が激しくなるのは確実で、デモは下火になるだろうと有識者たちは一様に指摘している。

 だが、それで中国が安泰かというと、そうではない。国内問題は山積しており、その病巣は着々と国家を蝕んでいる。

 国内ではまず、インフレの問題がある。物価がどんどん上がり庶民の生活は苦しくなる一方で、国内に2億人の失業者がいることを温家宝首相自身が今年3月に認めているし、大学生の就職難が社会問題化していることはすでに述べた。

 また、少数民族の問題もある。漢語を強制する当局の教育改革に、チベット族が猛反発した。10月19日には青海省の黄南チベット族自治州同仁県で高校生ら数千人がデモ行進。翌20日には同省内の海南、海北、果洛の各自治州にデモが飛び火した。さらに22日には首都・北京の中央民族大学の構内でチベット族の学生ら数百人がデモを決行した。

 さらにウイグル自治区でも、独立運動が過熱している。前出の宮崎氏が言う。

「中国はウイグルを侵略して言語や文化を押しつけ、それでいてウイグル族の雇用対策は講じない。彼らの怨念は爆発寸前です。少数民族と呼ばれる民族は、中国に55族ほどありますが、チベット族が約600万人、ウイグル族は600万~700万人いる。他にも100万人単位の民族がたくさんいますから、これらが結集して当局に牙を剥けば大変な脅威となります」

 反日デモへの誘導という手段を用いて共産党体制への批判を封じようと躍起になってきた中国だが、その末路は暗澹たるものだという見方が濃厚だ。

「今年の第1四半期には、GDP成長率が11.9%もありましたが、第3四半期には9.6%と鈍化しています。そもそも、近年の経済成長はインフレ誘導によってバブルを作り上げた結果によるものです。これからは、今までのツケが回ってきて、政治的にも経済的にも大変な局面を迎えるでしょう」(前出・石平氏)

 そうなれば、より激しく当局批判に走る人民も現れるだろう。彼らに対して「血の鎮圧」が再び行われるのだろうか―。
 

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