雑誌
激動!! 日本のクルマ界が変わる!!
トヨタが変わる、エンジンが変わる、
ラリーが変わる、ガソリンが変わる、クルマが変わる

 クルマ界はいま、大きな岐路に立っている。おそらく10年後、20年後にこの2010年近辺を振り返ると、「あの時期のあの年がターニングポイントだった」と語られることになる。少なくとも本企画担当は、このページを構成するために取材を進めたいま、そう確信している。

 トヨタは軽自動車を販売するし、ほぼ決定していたWRCの参戦には待ったがかかった。エコカー補助金が終わったことで新車販売は大きな影響を受け、ディーゼルエンジンには再び脚光が当たってきた。

 クルマ界は日進月歩そして今この瞬間から数年間は、時計の針が加速する。どの業界にも数十年に一度そんなタイミングがあるが、クルマ界はまさに「いま」がその時なのだ。

激動ファイル(1)
年間6万台、3車種のうち2車種は決定!
ダイハツに死ねというのか!? トヨタが軽を販売

ムーヴコンテ現在月間3000〜4000台を販売しているムーヴコンテ。OEM3車 種のなかではスタンダードで量販モデルを担当すると予想される

 9月28日火曜日の正午、トヨタ自動車広報部より編集部宛に電話連絡が入った。

「本日午後5時より、東京本社地下の会見場にて弊社一丸副社長とダイハツ工業伊奈社長による共同記者会見を実施します。ぜひおいでください」

 トヨタの一丸陽一郎副社長といえば国内営業担当。そしてダイハツは伊奈社長自らが出席。

ハイゼットハイゼットはカーゴとトラック両方が対象。タウンエース/ライト エースよりさらに小さい商用車をお求めのお客さんのために用意

 内容を問い合わせても「記者会見が始まるまでは何も言えません」と広報の口は固い。

 会見場に着くとすぐにトヨタ一丸副社長とダイハツ伊奈社長が登場。一丸副社長の口より、「トヨタ自動車とダイハツ工業はこのたび、軽自動車のOEM供給を受けることで合意しました。これにともない両社はハイブリッド部門、EV部門でも協業を進めていくこととします」

 と発表があった。

そしてもう1台は?そして最後の1車種は何か? もしやイース? ミラココア?

 先頃からの新車販売不況で登録車は苦戦を続け、国内での軽自動車販売シェアは35%を超えた。

 登録車のみの数字では他社を大きく引き離すトヨタも、スズキからOEMを受ける日産、昨年伊東社長が就任してから「(軽に)力を入れていく」と明言してるホンダらの挟撃に遭い、販売現場から「ウチでも軽を売らせてほしい」という声が全国から寄せられていた。

 これらのことを考え合わせると、グループ内企業であるダイハツから軽を調達するのは時間の問題とも言われてきた。しかしトヨタがダイハツの軽を販売するとなると、ダイハツの販売店はどうなるのか。

 これまでトヨタとダイハツは「トヨタアライアンスダイハツ(TAD)」という契約に基づき、トヨタのお店に来て「軽自動車が欲しい」というお客さんにはダイハツの店舗を紹介するという緩やかな販売協力体制をしいてきた。このTADは年間3万台程度の販売協力だったが、今回の提携ではダイハツから3車種供給を受け、年間6万台程度のOEM提携となる。

 ダイハツからトヨタに提供されるのは、ムーヴコンテと商用車のハイゼット(トラック/バン)、さらにもう1車種は現在検討中だとのこと。この1車種はスバルに供給している車種とは重複しないそうなので、ミラ(プレオ)、タントエグゼ(ルクラ)、アトレーワゴン(ディアスワゴン)は外される。そうなると残りはエッセ、ミラココア、テリオスキッド、そして来年登場予定のイースあたりが候補か。

 OEM販売は来年中に順次トヨタバッジを付けてネッツ店およびカローラ店(一部地域はトヨタ店)にて販売される。

「競争は大変激化するだろう。その点は承知している。ただ軽自動車自体の存在感が増す可能性もある。トヨタから登録車ベースの、ハイブリッドカーなどのOEM供給を受けることも含めて、販売会社と協力して拡販に取り組んでいく。これからも軽メーカーとして生き残っていかないといけない。さまざまな取り組みを通じて軽自動車の販売台数を増やしていきたい」

トヨタ一丸陽一郎副社長とダイハツ伊奈功一社長。「今回の提携は どちらが先に言い出したわけでもなく、両社から出た提案」だそう

 これは同会見で伊奈社長が「ダイハツの販売店にとって危機的状況ではないか?」という質問に対する回答。

 販売的に苦戦するのは覚悟のうえで、将来的に(2011年末までに具体的な車種を決定)トヨタからOEM供給されるハイブリッド車に期待し、それで販売店を納得させるということのようだ。

 では今回の提携を、販売現場はどう考えているのか?

◆在阪ダイハツ販売店

「非常に大きな影響が出るでしょう。今近くのトヨタ販売店にはダイハツのパンフレットを置かしてもらっていますが、これからはライバルとなるわけです。お客様とのつながりを再確認して、地道に販売を続けていくしかありません。個人的にはなんてことをしてくれたんだ、と思いますよ。でも会社の方針なんだからしかたがない。再来年にはハイブリッドカーがOEM供給されるという話ですが、同じハイブリッドカーならトヨタのお店で買うでしょう。我々には一方的に厳しい話だと理解しています」

 いっぽうネッツ店、カローラ店の要望はどうか?

◆ネッツトヨタ千葉某店

「軽自動車のOEM販売は我々がずっとトヨタ本社に求めていたことです。いわば悲願。ネッツ店やカローラ店は若年層向けのラインアップだから軽と顧客層がモロにかぶります。税制の優遇を受けている軽とコンパクトカーでは厳しい戦いだった。軽がラインアップに加わることで利益額の下振れも予想されますが、そこは商売の間口が広がったのだと思ってどんどん売っていきます」

 やはり販売現場としてはトヨタ側が喜び、ダイハツ側が厳しい表情だった。

 今回の提携で国産8メーカーはすべて軽自動車を取り扱うことになった。こうなればトヨタも軽自動車の開発に参画し、ダイハツにどんどん提案していき、すばらしい軽自動車を開発してほしい。

 トヨタで軽は販売される第1弾は来年夏頃。トヨタの販売、そしてグループそれぞれのラインアップは大きな転機を迎えることになる。

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