2011.08.13(Sat) 毎日フォーラム

収拾のめど立たない放射能の影響
[農漁業被害]輸入停止、検査証明要求が34カ国・地域

筆者プロフィール&コラム概要
高濃度の放射性セシウムを含む稲わらを餌として与えられていた畜産農家の肉牛=福島県浅川町で7月15日

 東日本大震災は日本の農漁業に大きな爪痕を残したが、特に回復の見通しが立てにくいのは福島第1原発事故による放射能の影響だ。事故収束を目指す国や東京電力の対策が一進一退を続ける中、原発から遠く離れた地域の産品からも規制値を超える放射性物質が検出され、関係者の苦悩の色は深い。

 放射能汚染を理由に日本からの食品輸入を規制する国もまだ多く、政府が掲げた農林水産物の輸出額1兆円という目標は遠ざかる一方だ。

 農林水産省が7月20日現在でまとめた資料によると、日本産の食品について輸入を停止したり、放射性物質の検査証明などを要求しているのは34カ国・地域に上る。

 自国による検査を強化した国も含めると、計42カ国・地域となる。カナダのように輸入規制を解除し、自国内でのサンプル検査だけに改めた国もあるが、全体としては4月ごろからほとんど増減がなく、緩和に向かう傾向はみられない。

 各国の対応を見ると、日本にとって最大の農林水産物輸出先である米国は福島、茨城、栃木、千葉、群馬、神奈川県のホウレンソウやお茶、コウナゴなど一部品目の輸入を停止。福島、茨城、栃木3県の乳製品や野菜・果実(加工品を含む)については放射性物質の検査証明を求めている。これでも中東や欧州の各国と比べれば緩い方だ。インドや豪州なども自国側での検査だけで、冷静な対応と言える。

 それ以外の多くは日本製食品の輸入に高い「防波堤」を築いている。過剰反応が特に目立つのは中東諸国で、イラク、クウェート、モロッコ、エジプトはあらゆる日本食品の輸入を全面的に停止。日本の近隣諸国では、中国が輸入停止の対象産地を当初の12都県から10都県に減らしたものの、他の産地にも検査証明や産地証明を求めるなど厳しい規制を続けている。韓国は福島など6県のホウレンソウやお茶などを禁輸。その他の都道府県についても検査証明や産地証明を課している。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

『毎日フォーラム 日本の選択』は「官と民」「中央と地方」をつなぐ政策情報誌です。すべての国会議員と中央府省の幹部、全国の都道府県、市区町村の首長と幹部、在京外国使館など政策責任者に直接送るユニークな月刊誌です。


毎日フォーラム~毎日新聞社

『毎日フォーラム』は毎日新聞社が発行する月刊誌です。
「官と民」「中央と地方」の架け橋となる政策情報誌として、国会議員や中央府省の幹部、全国の都道府県、市区町村の首長と幹部、在京外国使館、大手民間企業の幹部職員らに幅広く読まれています。 毎日フォーラムのサイトはこちら >>