中国
アメリカが転べば、尻餅をつく中国経済ーー中国でおきている「百花繚乱」経済論争
アメリカのデフォルトは、回避された〔PHOTO〕gettyimages

 アメリカ時間の8月2日、アメリカのデフォルト(債務不履行)は、ギリギリで回避された。この日、北京時間では8月3日の明け方にもかかわらず、CCTV(中国中央電視台)の総合チャンネルが、まるでCNNテレビに成り代わったかのように、ワシントンから長時間、生中継した。どの議員が賛成に回ったとか反対したとか、1917年以来の過去92回の国債限度額の設定の歴史を振り返るなど、ワシントンに繰り出した大報道陣が詳細に報じたのだった。

 私は早起きして寝惚け眼でCCTVを見ながら、中国がここまで太平洋の向こう側の超大国の債務問題を真剣に報じていることに驚嘆しつつ、こと経済分野に関しては、米中一体化の様相を呈している現実を再認識したのだった。

 考えてみれば、アメリカ国債の総発行額14・3兆ドルのうち、1兆1598億ドル分を、中国が保持している。これはアメリカ国外で買われた国債の、実に25%にあたる。もちろん、アメリカを除けばダントツの世界一である。つまり、アメリカが転べば、中国もすってんころりんと尻餅をつく構図なのである。

中国経済はアメリカに人質にとられている?

 結局、雨降って地固まる式で、オバマ大統領とアメリカ連邦議会とが妥結し、93回目の国債限度額アップが成された。だが興味深いことに、中国ではその後も、活発な経済論争が展開されている。それは以下のようなものだ。

<中国ハイパーインフレ論>

 広東金融学院の陸石院長や上海浦東アメリカ経済研究センターの王国興主任研究員など、中国の多くの経済学者が、アメリカ初のインフレの可能性を指摘している。昨年11月に、FRB(米連邦準備制度理事会)が6000億ドルもの債権引き受けを発表したことで、「輸入型インフレ」を惹き起こしやすい貿易大国の中国は、一気にインフレとなった。インフレ熱はその後も加速する一方で、物価上昇の指標を示す豚肉価格は、この6月には、前年同期比で57・1%! もアップした。

 今回のアメリカの債権発行許可によって発行される債券は主に、FRBが保持する可能性が高い。つまり昨年11月に続く実質上の3度目の量的緩和政策である。これによって中国でさらなる輸入型インフレが発生し、ハイパーインフレが起こる懸念があるというわけである。

<中国経済人質脱却論>

 中国経済は、まるでアメリカに人質に捕られているようなものだ。それが図らずも今回、露呈した。そのため一刻も早く、アメリカ国債を一定程度手放し、アメリカ依存型経済を是正していかねばならない---。このような意見を述べている代表的人物は、「胡錦濤主席&温家宝首相の経済顧問」として知られる夏斌・国務院参事(国務院発展研究センター金融研究所所長)である。夏斌参事は今年、2020年までの中国経済の指標を示した著書『中国金融戦略:2020』が、ベストセラーになっている。夏斌参事は、隔週刊誌『財経』最新号への寄稿文で、次のような持論を展開した。

〈 中国は速やかに海外投資委員会を設立すべきである。金融部門ばかりか、科学技術部、工信部などの専門家も結集し、2020年~2030年に中国の台頭の時代を迎えるために、いま何が不足していてどう補っていけばよいかを、金融、資源、労働力など多方面の観点から洗い直すのだ。そうして戦略的な海外投資を行うことによってこそ、国内のインフレ圧力を回避することができる 〉

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