田原総一朗×夏野 剛「ITを活用しない経営者は信長に敗れた武田勝頼と同じだ」
「立ち上がれ!ガラケー日本!!」 vol.3

vol.1 はこちらをご覧ください。
vol.2 はこちらをご覧ください。 

 田原: せっかく夏野さんにお会いしたから、ITやネットの将来を聞きたい。

夏野: ネットとかITとか、昔、鉄が「産業の米」と言われたのと同じように、ITとかネットというのはすべての産業のインフラなんですよ。

田原: ひと頃は半導体が産業の米と言われましたね。

夏野: 言われましたね、鉄の時代から半導体の時代へと変わった。今IT技術は、サービス業を含めたすべての産業の必須ツールなんです。言ってみれば戦国時代に鉄砲が入って来たようなものなんです。これがいいとか悪いとか、副作用があるとかないとか言っていられないんです。鉄砲入ってきちゃったんだから。

 あとは、どう使うか。どう使うかのほうが大事なんです。それを、いまだにITはちょっと特別なものだとか思ってる経営者がいるとしたら、早く引退すべきですね。

田原: 自動車が入って来たのに、まだ馬車に乗ってるようなもんだ。

夏野: 鉄砲が有効かどうかは、武田勝頼と織田信長の闘いで決着はついている。

田原: 武田勝頼ってね、若い人は知らない。ちょっと説明して。

夏野: 武田勝頼さんというのは信玄の息子さん。武田家というのは、騎馬軍団というのがあって、すごい強い騎馬の・・・

田原: 馬に乗った武田の騎馬軍団は戦国最強って言われていた。

夏野: 馬に乗って武士がわーっと切っていくわけです。これは日本最強でした。これで連戦連勝だった。ところが、織田信長はですね、新しい鉄砲というテクノロジーが来た時に、「これだ!」と言って大量に買った。しかも鉄砲を買うために堺を制圧したんですね。で、鉄砲を買ってきて何をやったかというと、3人を列にしてバーンと打ったら、退いて二列目が打つ。

 これを交替でやると連射ができる。昔は火縄銃で、火をつけてから発射まで1分くらいかかったから。この連射の仕組みを考えた。つまりITで言えば、コンピュータを1台持ってます、じゃなくて、そのコンピュータを使ってどういう組織にするかを考えたんですね。

 そうすると、最強の騎馬軍団が一生懸命来ても、鉄砲の前には無力なんです。これなんですね。

田原: 連射方式、これがすごいね。まだヨーロッパでもなかった戦法だという。

夏野: 新しいテクノロジー、これは単なるシンボリックな旗じゃないんです。もう戦闘のあり方、つまり経営のあり方を変えなきゃいけないんです。

田原: 変えなきゃ。

夏野: 実はもう変ってるんです。だって20年前は新入社員で入って来ても、パソコンなんてもらえなかったですよ。

 今一人一台全員パソコン持ってね、携帯もみんな持ってる。もうデートのあり方から仕事のやり方から180度変わっちゃったんですよ。

田原: ところがまたバカな会社があって、携帯をプライベートで使っちゃいけないとか。

夏野: PCは、ラップトップなのに会社から持ち出しちゃいけないとか。これ本末転倒なんです。ITってツールなんで、どんなビジネスにおいても、使ったほうが効率がよくなるんです。で、これを毛嫌いしたり、うまく使わないような体制とか仕組みとか、いまだに組織形態も役職がいっぱいあるじゃないですか。もう要らなくなったんです、社長がダイレクトに社員全員にメールを出せるんですから。

田原: フラットの時代ってやつだ。

夏野: フラットの時代になっちゃったんです。だって意思伝達いらないです。別に、Ustreamやニコ生で社長が全員に向けて話してもいいんです。

田原: 中間管理職は邪魔だという話になっている。

夏野: 違う役割がきちんとあればいいんです。だから、こういう情報伝達だけやってることが、僕は昔は「管理監督の経営」だったって言うんですけど、今はもう「率先垂範」の経営に変えなきゃいけないんです。

田原: 率先垂範ね。

夏野: ところが経営体制とか人事の仕組みとか、こういうものが全然変わってないんです。早く変えないと負けちゃうんです。

田原: 武田勝頼になっちゃう。

田原総一朗がtwitterをやっているのに、自分はやらない経営者って

夏野: どう使うかなんです。ITはITだけでは何もしれくれないんです。メールがあったってメールだけ。これを社内の組織の仕組みいれたときに、はじめてパワーになるんです。それ、あたり前のことじゃないですか。だけど、なかなかそれがまだできてない。

 それを反映して、ITを前提にした組織、人事、管理、こういうことをやってかないともうどんどん遅れるだけなんです。これは上から言わないとダメなんです、下から積み上げではできない。

田原: だって上はIT知らないもん。

夏野: そこが問題なんです。だから、僕は今の日本の経営者の方にぜひ言いたいのは、食わず嫌いをやめてほしい。田原さんなんてtwitterを使いまくってるわけでしょう? 田原さんより若い日本の経営者が、なんでやってないんでしょう。

田原: だからね、この国をよくするためには現経営者をクビにすると。

夏野: ははは。学んでもらうかね。だけどほんとにそこが・・・。

田原: 経営者の再教育機関を作ったらどうですか。

夏野: 教育するぐらいだったら替えた方がいいですね。自分で気づかない人はもう無理ですよ。だけど、この10年間の変化があまりに激しいから、これについていけないと思ったら、もう退職金もらって引退すべき。

田原: で、若返るべき。

夏野: うん、もう任せたと。「つらいから任せた」と。

田原: 例えば、民主党は、ひところ、トロイカ方式なんてバカなことをいっていた。これは鳩山、菅、小沢、これをトロイカだという。僕は、トロイカが全部辞めることがいいことだと。

夏野: それどころかトロイカプラス1なんて・・・(笑)。

田原: でね、トロイカなんて言ってる間は民主党はダメだと書いたの。若返れと。トロイカの二人がね、代表選、代表選って無駄な時間を一杯使うのがばかばかしいと。

夏野: 政治ですらそうなんだから、企業経営はもっとそうなんです。

 政治はまだね、有権者が票を入れて選ばれるので、まだそれでもいる意味あるけど。経営の現場では結果が数字で出ますから。成長がこんなにできてないんだったら、もうちゃんと体制を変えないと。

 人がどうじゃないんですよ。今までやってきたやり方が、通用しなくなってるんじゃないかなと疑わなきゃいけないんです。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら