雑誌
告発! ハローワークでボロ儲け!
資格取得支援制度の呆れた実態

「月に10万円はちょろい!」審査はザルで就職には
役に立たず、厚労省は予算7000億円をタレ流し

 今、失業者の間で人気の「基金訓練」という制度をご存じだろうか。ハローワークに行けば、「基金訓練案内」のコーナーは、すぐに見つけられるはずだ。

「基金訓練とは、昨年7月からスタートした資格取得支援事業です。資格を取って、就職活動を有利に進めてもらおうという支援制度で、利用者は、パソコンや医療事務、ネイルアートなど様々な専門学校の授業料が免除される。

 また、生活費に困っている人には、学校に通っている間、月々10万~12万円が支給される。厚生労働省の管轄で、学校側にも、生徒一人当たり月々6万~10万円の補助金が出る仕組みです」(全国紙経済部記者)

 専門学校の授業料を免除し、生活支援金まで給付する。失業者の間で人気が出るのも頷けるところだ。ところが、その人気の理由を取材していくと、意外な実態が見えてきた。「ハローワークでボロ儲け」と、ほくそ笑む人々の姿が浮かび上がってきたのである。

 実際にパソコン教室に6ヵ月間通って、月10万円、合計60万円の生活費支援も受け取ったA氏(38・愛知県在住)に話を聞いた。A氏は昨年春、派遣切りされた後、アルバイトで食いつないでいる時にこの基金訓練を知ったという。

「この制度については、派遣時代の仲間の間で話題になっていたんです。1コースは3ヵ月で終わり、2コースまでしか受けられませんが、授業に8割以上出席さえすれば、月10万円の生活支援金も貰える。

東京・池袋にあるハローワーク。基金訓練の案内コーナーには推薦学校のチラシがうずたかく積まれていた 〔PHOTO〕三好健志(以下同)

 ともかく、出席さえしていれば良いのです。卒業するためのテストもないし、授業中に寝ていても注意されない。放課後のアルバイトも認められている。クラスの中には、『授業料もタダで生活支援金も貰えるから通ってるのよ』と言い切るおばちゃんもいたのには驚きました」

すでに約12万人が利用

 基金訓練は、収入が少なく雇用保険を受給できない求職者らを対象としたもの。厚労省の元局長が理事長を務める「中央職業能力開発協会」(JAVADA)が認定した、各種学校、教育訓練企業などの機関が職業訓練を実施する。

 申請手続きは、概ね以下の通りだ。(1)ハローワークに受講申込書を提出し訓練実施施設で選考試験を受ける(簡単な一般常識の試験)。(2)合格した人は、ハローワークに合格証明書を提出する。(3)授業料の免除だけではなく、生活支援給付金の受給も希望する人は、受給資格認定申請書もハローワークに提出し、すべては最終的にJAVADAが審査する。

A氏がハローワークで受け取った「職業訓練受講推薦通知書」。パソコンに興味があったため、文書作成の基礎を選んだという

 A氏も、ハローワークの窓口で、パソコン学校の履修手続きをして入学した。生活支援金についても、JAVADAの審査を受けて受給の認定を得た。

「基金訓練は、昨年5月の自民党政権下の第1次補正予算で7000億円の税金が注ぎ込まれ、昨年7月末から全国で実施されています。

 今年9月末時点で、生活支援金も含めた利用者は約11万9000人で、約300億円が支給されています。財源の問題がよく取り上げられますが、『この制度は本当に雇用促進に結びついているのか』といった疑問の声が上がっているのも事実です」(厚労省担当記者)

 A氏の話は、この点も裏付けた。A氏はパソコン学校で、文書ソフト『Word』の使用方法を学んだが、その教材が驚きの品だった。今の資格取得には役立たない『Word2003』だったのである。現在、資格試験で使用される基本ソフトは、『Word2007』と『Word2010』。『2003』の知識だけあっても意味がないのだ。

「その点については、私も学校に指摘しましたが、学校側は、『それで教えるよう決まっているから』と、相手にしてくれませんでした。まあ、基金訓練で学費は不要だし、月々10万円の生活支援金ももらっていたので、それ以上、問題にしませんでしたけど」

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら