選挙
素直な謝り方を知らない仙谷官房長官、蓮舫大臣
キムタクのドラマに学んだらどうか

 国会議員、とりわけ民主党政権の閣僚はどうして素直に謝らないのだろうか。官房長官・仙谷由人にしても、行政刷新担当相・蓮舫にしても――。

現内閣において、「影の総理」といわれる仙谷の政策調整能力、人心収攬術、胆力はたしかにずば抜けている。仙谷がいなければこの内閣はたちどころに機能不全に陥るだろう。

また、蓮舫の政治センス、発言の切れ味は抜群で、ある民主党ベテラン議員と話していたら、蓮舫を「ポスト菅」候補の筆頭に挙げた。

2人ともこの内閣で欠くべからざる存在になっている。しかし、「守り」に入った時の対応、とくに謝り方がお粗末だ。

「弱腰と思っていない。『柳腰』というしたたかで強い腰の入れ方もある」―。仙谷が尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件への対応でこう強弁したのが12日の衆院予算委員会初日だった。翌日、自民党議員から誤用を指摘されても、記者会見で撤回するのを避けた。


これにとどまらず、新聞報道を引用して事実関係をただした自民党参院議員に対しては「最も拙劣な質問方法」と声を荒らげた。経済産業省の官僚が公務員制度改革への政府の取り組みを批判すると、仙谷氏は「こういうやり方は彼の将来を傷つける」と、どう喝とも取れる言葉を口にした。

「柳腰」発言はすぐに、「言葉の使い方を誤った」と言ってしまえば済んだ話だ。ここでつまずかなければ、仙谷が追及の矢面に立たずに済んだだろう。仙谷が首相・菅直人に代わって、集中砲火を浴びようとしたなら別だが、そこまでの意図があったとは思えない。

 蓮舫の対応にもがっかりした。「現代ビジネス」のコラムで、『VOGUE NIPPON』11月号に掲載された国会内での写真について説明し、次のように締めくくっている。
「記事の内容は私の政治活動、政治信条に関するものであり、基本的に問題はないと考えますが、結果として誤解を与える懸念があるとすれば、全く本意ではありませんので、率直にお詫びさせていただきたいと思います」

蓮舫のホームページからこのコーナーに飛ぶように設定されているので、公式見解なのだろう。「誤解を与えたとすれば、全く本意ではないため訂正させていただく」という言い回しは9月14日、尖閣諸島について「領土問題」と発言した時にもホームページのコラムで行っている。

「…とすれば」という表現を付けると、この人は本当に謝っていないんだな、と受けとめられてしまう。事業仕分けの時のように切れ味鋭くスパッと謝った方が良かった。

「CHANGE」に学べ

  謝り方を考える時、思い出すのは一昨年にフジテレビ系列で放送されたドラマ「CHANGE」の場面だ。脚本は現在、NHKの「龍馬伝」を書いている福田靖さんが書いた。
このドラマは、衆院議員だった父親の突然の死を受け、木村拓哉ふんする小学校教師の朝倉啓太が衆院補欠選挙に立候補し当選、35歳で総理大臣になってしまう筋書きだ。荒唐無稽だが、高視聴率を獲得したのは、国民が望む理想の政治家像を描いていたからだろう。わたしは、このドラマの監修を務めた。


初回にこんな場面が出てくる。補欠選挙の終盤に、父親の金銭スキャンダルが敵対陣営から暴露され、窮地に陥る。朝倉陣営はこのスキャンダルを全面否定することで乗り切ることで一致した。しかし、朝倉は選挙戦の最終日の演説でこう語った(台本による)。

「あの疑惑が報道されたときのことを、僕は覚えています。新聞に載っていた父の名前を見て、僕は尋ねました。これは本当かと……父は答えてくれませんでした。ただ一言、政治には金がかかるんだ、と……僕の目を見ずに……あのときから、僕は政治が嫌いになったんです」

「父には応援してくださる人がたくさんいました。その人たちは父の不正を許してくれるかもしれません。きれいごとで政治は出来ない。いいことをするために仕方なく不正に手を染めることだってあるじゃないか。だから自分は朝倉誠を責めない、と……。でも……僕は、世の中には必要な悪があるなんて、子供たちには教えたくありません」

「実はずっと立候補したことを後悔していました。でも……今初めて、選挙に出て良かったと思います。皆さんに謝るチャンスを貰ったから……父が皆さんを裏切ったことを、僕は息子として謝ります。申し訳ありませんでした(深々と頭を下げる)」

この演説を聞いて、陣営の大半は敗北を覚悟した。しかし、阿部寛演じる選挙プランナー、韮沢は「俺は初めて見たよ。あんなに素直に頭を下げる人間を……」と語っている。

 昨年夏の総選挙で政権交代を実現した民主党に対する「期待値」が急速に下がってきている原因は「政治とカネ」とか、政権運営の拙さとみられている。だが、政治スタイルで誤りを認める素直さが欠けていることも原因の1つではないか。 (敬称略)
 

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