仙谷さまのお通りだ!
「陰の総理」あるいは「民主の帝王」

そこのけ、そこのけ、
びびり総理とこども大臣どもよ
バカな質問をすると、もの凄くバカにされる

 逃げることしか頭にない総理と、さえずり回る大臣どもを、全部まとめるのはこのオレしかいない。仙谷由人のメガネが、今日もキラリと光を放つ。逆らう奴は、小沢一郎のようにぶっ潰してやる!

まずは仙谷に聞け

 国会で、いまやすっかりお馴染みとなった野党のヤジがある。

「仙谷総理!」

「仙谷総理、ガンバレ!」

「仙谷総理が眠そうな顔をしているぞ!」

難しい質問が来ると、すべて仙谷まかせ。菅総理は国会ではのらくら答弁ばかりで、国民に訴える言葉は一つもない。野党時代の輝きはいずこへ・・・

 もちろん、"本物の総理"、菅直人首相もその場にいる。だが、野党の質問に対し、官僚が書いた答弁書を棒読みするだけの菅首相の存在感は、まるで薄い。

 しかし、仙谷由人官房長官は違う。野党から無礼な質問が飛べば、

「お尋ねの主旨が分かりかねますな」

「何をおっしゃってるのか、とんと分からない」

 と、傲岸不遜な態度で挑発しまくり。たまに痛いところを突かれると、目を剥いて自席を飛び出さんばかりに激昂し、対決姿勢を隠そうともしない。

 「安全運転」に徹し、言質を取られないことばかりを気にする「びびり総理」と違い、「陰の総理」こと仙谷氏の態度には、「オレがいるから民主党はもっている。何か文句があるか」と言わんばかりの、自負とプライドが満ち溢れている。

 そして国会でのヤジと同じく、最近、首相官邸内ですっかりお馴染みとなった光景があるという。

「何か事件が起きると、古川元久、福山哲郎両官房副長官が、『たいへんだ、たいへんだ!』と言って、官邸の廊下を走っていくのです。行く先は官房長官室。二人は仙谷氏の小間使いのような存在で、自分たちで重要決定をする権限も能力もないから、事あるごとに、慌てて長官室に駆け込んでいく」(官邸スタッフの一人)

 まずは仙谷さんに聞け。仙谷さんの許可は出ているのか―。これはいまや、民主党政権における合い言葉だ。そして誰もが、

「仙谷さんに睨まれたら地位が危ない」

 と信じ、戦々恐々としている。実際に、「仙谷総理」から無能とのレッテルを貼られ、左遷されてしまったのが長妻昭前厚労相だ。

 長妻氏は、伏魔殿と呼ばれた厚労省のコントロールに失敗し、仙谷氏から見限られた。代わりに大臣となった細川律夫厚労相の口癖は、「長妻はどうやっていたのか?」だという。

「そこで『長妻さんは"A"と言っていました』と説明すると、『では"B"にしろ』というように、ことごとく長妻路線を否定しています。厚労省は、仙谷さんに泣きついて長妻氏を追い出すことに成功した。細川大臣は、同じ憂き目に遭うのを怖れているのです」(民主党政務三役の一人)

 「仙谷支配」。そんな表現は、決して大袈裟ではない。そもそも、本来は政権の最高責任者である菅首相からして、すべて"仙谷頼み"に陥っている。

 このところ、政府の重要発表は、なぜか菅首相が日本を留守にしている時に行われる。9月24日に尖閣沖衝突船の中国人船長の釈放が発表されたのは、首相が国連総会出席のためニューヨークに出張していた時。

 そして、小沢一郎元幹事長が検察審査会から「起訴議決」を受けたことが公表されたのは、10月4日、首相がASEM(アジア欧州会合)のため、ベルギーに行っている時だった。

 一歩間違えれば政権の土台を揺るがしかねない問題を処理し、すべてを仕切ったのは、官邸に居残っていた仙谷氏である。さらに言えば、ブリュッセルで行われた菅首相と中国・温家宝首相との「立ち話」を、裏で仕込んだのも仙谷氏だ。

 中国政府との水面下の交渉について、自分は何もできない菅首相は、「大丈夫。あれは官房長官がやっているから」と、完全に仙谷氏任せだった。そして仙谷氏自身も、難交渉を一人で成功に導いた自分の手腕を、もはや隠そうともしない。

 公式には、両首脳の立ち話は、「偶然」行われたと強調されている。だが、裏で仙谷氏が、それをあっさり否定しているのだ。

「(立ち話が)偶然、その場で決まった? そんなわけないだろ。幼稚園じゃあるまいし。言ってみれば"阿吽の呼吸"だな」

 仙谷氏は、その辣腕ぶりから「後藤田正晴氏の再来」などと言われる。しかし、その表現は間違いだ。かつて中曽根政権を支えた後藤田氏は、確かに名官房長官と呼ばれたが、後藤田氏はあくまで黒子に徹していた。

 一方、仙谷氏は違う。菅首相の存在など、内心では歯牙にもかけていない。何しろ「菅はもうアカン」と言い放つくらいだ。思考停止の首相を尻目に、自分がクビを縦に振らなければ、政府は一歩も動かない。菅の判断なぞどうでもいい。いつの間にか、そんな独裁体制を作り上げてしまった。その点に限れば、仙谷氏は後藤田氏を超えている。

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