田原総一朗×夏野 剛「カネ、人、技術の揃ったニッポン企業はこうやれば浮上する」立ち上がれ!ガラケー日本!! vol.2

2010年10月18日(月) 田原総一朗
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田原: ちょっと余談ですけれどかつて円が1ドル=79円になった。このとき榊原英輔という男が国際金融局長だった。榊原は友だちなんですが、「田原さん、これ100円にして見せる」と僕に言った。彼はなんと106円にした。だからミスター円と呼ばれた。なんで彼はできて、今、野田(財務大臣)はできないのか。

 当時、アメリカが戦略を変えたんですよ。アメリカは物を輸出してたので、輸出にはドル安がいい。ところがどうもアメリカのものは輸出がダメだということがわかった。そこでアメリカは金融に切り替えようとした。世界中から金を集めよう、そうしたらドル高がいいに違いない。日本は円安、アメリカはドル高、うまくこれが、アメリカが協力してくれたんですよ。

夏野: おっしゃるとおりで、円高だからダメだと思う必要なくて、円高なりのチャンスがあるんですね。円安なら円安なりのチャンスがあるわけで、適宜戦略を変えていかなきゃいけないんですよ。

田原: だから、円高でできる戦略があると、円安だからできる戦略もある。

夏野: ただし、今までから見ると、反発みたいなのもあるかもしれない。例えばノキアも、ソニーエリクソンという会社もヨーロッパに工場ないんですよ。ソニーエリクソンは全携帯を北京郊外の工場で作ってるんですね。ノキアもヨーロッパの会社なのに、ヨーロッパに工場はないんです。でも、日本のメーカーは全部日本で作ってるんです。

田原: いろんな会社はもう海外に出てますね。

夏野: どんどん出てます。いままでの常識じゃない、定石じゃないことをぐんとやらなきゃ。で、新しい価値を出していく。新しい商品を出していく。僕はドコモを辞めましたが、iPhoneを見た時に、「こういうのを作りたかった」と思いましたよ。

垂直統合モデルを潰した霞ヶ関

田原: ね、なんでiPhoneもiPadもそうだけど、日本にそういうの出て来ないの?

夏野: ひとつはですね、日本では垂直統合ができなかったんです。つまり、サービス、インターネットのサービスからビジネスモデル、そして端末までをぜんぶ一気通貫でアップルは作ってるんです。でもね、これ、実はもともとiモードのモデルなんです。iモードもそうやって作ったんです。アップルの連中はiモードのビジネスモデルを相当研究してますからね。

 ところがですね、iモードのときは途中から政府とかが出てきて、垂直統合はいかん、水平分離だ、みたいなことを言い出すわけですよ。海外に出られないのは日本の通信事業者が強すぎるからだ、とかね。みんなウソなんですよ。

田原: 総務省は一時NTTを敵にしてた。今は孫さんを敵にしてる。

夏野: 孫さんはまた別の話ですが(笑)。

田原: 別の話か(笑)。

夏野: 例えば携帯電話っていきなり高くなっちゃたでしょう? この前、なくしたら6万8000円もするんですよ。

田原: ほんとはタダでもいいでしょう。前はそうだった。

夏野: いやそれが、そのビジネスモデルがおかしいって総務省が言いだしたわけですよ。こういうことなんです。若い人は10ヵ月とか1年単位で買い替えるので、毎年6万8000円がタダ、補助金をもらってるようなものだと。それに対してそんなにしょっちゅう買い替えない人、つまりおれたちは、3年に1回しか替えない。だから不公平だと。

田原: そんなの勝手に替えないだけじゃない。官僚なんて絶対まずしくないんだから。

夏野: その通りなんです。それに、もっと言い返せば、若い人はバンバン携帯を使ってるんです。官僚なんて全然使ってないわけですよ。その分の6万8000円也が、若い人にいってる分、通信料金が高くなってる。だからなるべく定価で売って、通信料金を安くしろとビジネスモデルを指導したのが2007年です。それで急に高くなったわけ。

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