スクープ 千葉県の高級住宅街 5万ベクレルの異常値 行政は放っておくのか

2011年08月04日(木) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 検査機関に土壌の検査を依頼したのは、この街に住む会社員の松岡暁子さんだ。子どもが二人いる松岡家では、原発事故以降、自宅周辺の大気中の放射線量を調べる習慣がついていた。7月のある日、いつものようにガイガーカウンターで大気の線量を測っていたところ、数値がとんでもなく跳ね上がる場所を発見した。いわゆる〝ホットスポット〟だ。

「大気中だと0・4マイクロシーベルトぐらいだったのですが、家の近くの道路脇の土壌にガイガーカウンターを置いたら、7マイクロシーベルト近くに跳ね上がったんです。とんでもない数値です。機器が安い中国製だったので、友人にも声をかけて、違う種類のガイガーカウンターでも測りました。それでも、3機種ともほぼ同様の数値が出ました。これは詳しく調べたほうがいいと思い、その土を採取して、検査機関に送ったのです」(松岡さん)

 松岡さんが土を送ったのは、群馬県に本社を置き、農作物や土壌の放射線測定を行っている(株)アレルギー食品検査センター。厚労省による測定マニュアルに準拠した検査を行っており、連日、各地から放射線量を測ってほしいという依頼が押し寄せているという。

 同センターから報告書が戻ってきたのは、1週間後。計5万2547ベクレルという数字に、松岡さんは驚きを隠せなかった。

「報告書を見てショックを受けました。このあたりは通学路で、すぐ近くには農園もあるような場所です。そんなところから5万ベクレルを超える線量が検出されるなんて思ってもいませんでしたから」

 福島市の土壌より高い線量・5万ベクレル。この数値が意味するものは何か。チェルノブイリでの救援活動を続けている元四日市大学環境情報学部講師の河田昌東(まさはる)は、こう言う。

「私たちは福島原発から30kmほどの南相馬市で土壌の放射線量の測定を行っていますが、この柏市の土壌の汚染はそれとほぼ同じレベルですね。かなり深刻な数字で、チェルノブイリなら強制避難区域になるほどの数値です。現在、われわれはチェルノブイリ原発から70kmほど離れた場所で汚染土壌の浄化作業を行っているのですが、そこの汚染度は土1kgあたり2000ベクレル。柏市から出た5万ベクレルよりずっと低い。それでも、その地域は放射線管理区域に指定されています」

年間で88ミリシーベルト

 チェルノブイリの事故後、旧ソ連は1平方メートルあたり148万ベクレル以上のセシウム137が検出された地域を「強制避難区域」に指定した。その後、ベラルーシが独自に厳しい基準を設け、1平方メートルあたり55万5000ベクレル以上が検出された地域を「強制避難区域」として、約11万人を移住させた。それでも住民は被曝し、多数の子どもたちに深刻な健康被害が出たと報告されている。

 では、柏市の土1kgあたり5万ベクレル超という値は、1平方メートルあたりに換算するとどうなるのか。驚くべきことに1平方メートル当たり約340万ベクレルというとんでもなく高い数値が算出される(計算方法については、下記の注参照)。セシウム137だけでも約188万ベクレルで、旧ソ連が設けた強制避難区域の基準を、軽々と超えてしまうのだ。

※各研究機関は土壌1平方メートルあたりのベクレル数に任意の係数をかけて、1平方メートルあたりのベクレル数を算出している。係数は20から150まで まちまちだが、今回は原子力安全委員会が使用する「65」に依拠して計算を行った。仮に係数を「20」にしても、2万8884×20=57万7680ベク レル/平方メートルで、ベラルーシの強制移住区域である55万5000ベクレル/平方メートルを超える
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