牛肉だけじゃない 「いま福島県で起きていること」 新聞・テレビがパニックを恐れて 報道を自粛する

2011年08月01日(月) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 一方、県内のある地鶏業者は「地面に石灰を撒いて、その上にビニールシートを敷き、さらに籾殻を敷いている。今使っている籾殻は昨年収穫されたものだから問題ない」と語った。

 確かにこの地鶏業者は、鶏をビニールハウス内で飼うなど、かなり防御策を取っていたが、すべての業者が同じような対策を取っているわけではない。また、当初は安全と思われていたビニールハウス栽培の野菜でも、7月15日に福島県は、伊達市と本宮市で、椎茸から基準値を超えるセシウムが検出されたと発表した。ビニールハウスは安全だと思っていた生産者たちに与えた衝撃は大きかった。

 養豚業者も、牛と違って飼料は輸入物が大半で、密閉管理しているので、エサから放射性物質を取り込む心配はないと語る人が多い。ある養豚業者は「ほとんどの業者は、水道水はカネがかかるから、敷地内に掘った井戸水を豚の飼育に使っている。特に調べていないけど、地下水は大丈夫だろう」と語っていた。

 日本環境学会元会長の畑明郎氏が、地下水汚染についてこう言う。

「原発事故現場の地下を調べれば、すでに地下水にも汚染が進んでいることが明らかになるでしょう。地下水脈の調査は大がかりなものになり、民間レベルや県レベルでは無理。環境省にはすぐ調査すべきだと言っているのですが、動く気配がない。今後、水の汚染は再び大きな問題になる」

一番心配なのは「米」

〔PHOTO〕gettyimages

 県内を移動中、二本松市内で、田んぼに農薬を撒いている米農家の男性に会った。福島県内では地区によって米の作付けを見送ったところもあるが、この男性のところでは例年通り作付けをした。

「どうせ福島産なんて売れないだろうけど、長年の習慣だからね。うちの稲は国の基準もクリアしてるし、俺はもう60歳を過ぎてるから米ができれば食べるけど、この米を孫に食わそうとは思わんね」

 伊達市内の米農家の男性の話はさらに深刻だった。

「うちの田んぼは阿武隈川の支流から水を引いているんだけど、県の指導では阿武隈の川魚は捕ることも出荷することも禁じられている。そんな水を使って米を作ってもいいのか、県にも農協にも聞いたけど誰も教えてくれん。出荷直前に本格的な調査をすると言っていたけれど、危ない米をわざわざ作りたくはないよ」

 米は9~10月に収穫期を迎える。溜め池の水を使っている農家も多く、畜産関係者からも「一番心配なのは米」という声が聞かれた。

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