トヨタ自動車代表取締役社長豊田章男氏が語る
「G'S、GRMNそしてスポーツカーが進む道」
英国大使館の中で豊田章男社長を直撃。 荘厳なクラシックが流れるなかたっぷり お話を伺いました

 9月18日午後1時、豊田章男社長が我々の前に現われた。英国大使館にてロータス本社よりエリーゼを1台プレゼントされ、その贈呈式に出席するためだ。

 登場とともに周囲からいっせいにたかれるフラッシュ。

 笑顔で応える豊田社長。なぜ豊田社長にエリーゼがプレゼントされるのか。その経緯はP.6に譲るとして、問題はその式典のあと。

 いくつかの質問に答え、思いを語ってくれるという。こんなチャンスを逃すわけにはいかない。トヨタ自動車のトップ(しかも本誌の熱心な読者)に、聞きたいことを聞きまくろうではありませんか!!

期待のGRMN、今後の展開は?

 まず本誌が最も気になるのはG'sとGRMNの動きだ。トヨタの大きなスポーツカー戦略については本誌スクープ班が10/26発行ベストカーP.7~より報じているが、それとともにもっとコアなクルマ好きに向けて動いているGAZOOレーシング直轄のプロジェクト。

 特にGRMNは本誌が追い続けているハイブリッドスポーツコンセプト、FRホットハッチなど、クルマ好きをわくわくさせるラインアップを用意している。まずはこのクルマたちの動きについて、存分に語っていただきたい。

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記者 初めまして。ベストカーと申します(勝股、宇井等は会っているが記者は初対面)。

豊田章男社長(以下豊田社長) これはいつもいつもありがとうございます(意味深にニヤリと笑う。ちょっと怖い)。

記者 9月26日に弊誌の読者感謝イベントを実施するのですが、そこで御社にご協力いただき、GRMNの4台を展示させてもらいます。

豊田社長 聞いてます、聞いてます。一部の車種は走らせるんですよね? 

記者 ええ、そうです。そこでですね、G'sは先日ノア/ヴォクシーがめでたく発売されました。しかしGRMNのクルマは昨年9月に限定100台でiQ〝GAZOO Racing tuned byMN〟を発売したきりとなっています。GRMNでクルマを作って売る、というプロジェクトは間違いなく動いているんですよね?

豊田社長 えー・・・ご心配をおかけして申し訳ありません。まずGRMNというのは、クルマができたから、すぐ号口(市場で販売するようになった量産車のこと)になるというプロジェクトではありません。まず面白そうなコンセプトがあればそれを作ってみよう、ということです。

 クルマができて、オートサロンという皆さまにお見せする機会があり、またジャーナリストの方に乗っていただく機会があれば乗っていただき、市場の反応を見ていく、というようなことでやっております。

 ですから我々としましても、もっともっと皆さんのほうから「こういうクルマ出しなさいよ」と言ってくだされば、我々も発売に向けて動きやすいわけです。

記者 弊誌は毎号のように「出してくれ」と報じてますけれども・・・。

豊田社長 あははは(笑)、そうですね、参考にさせていただいてます。本当にありがとうございます。我々の力不足です。

1.MR-Sをベースにハリアーハイブリッドのユニットを搭載したスポーツハイ ブリッドコンセプト。3.3ℓのエンジンにフロントとリアふたつのモーター を搭載。約1300kgの車重で4lクラスの加速を見せるモンスターマシン

2.欧州で販売している超廉価車のアイゴ(MT)にラッシュに搭載されている FR用ミッションとエンジンをブチ込んだコンセプトカー。各所でコストダ ウンが図られており、マニュアルウィンドウでドアの内張りもない

3.1.3ℓのiQにスーパーチャージャーを搭載。980kgのボディでパワーもトル クも約30%アップしており、走りは大変エキサイティング。もともと足回 りがしっかりしているクルマなので楽しさが倍増する

記者 いやいやそういうつもりではなくて・・・頑張ってぜひ市販してください。

豊田社長 ええ、頑張ります。

記者 社長の思い入れが強いのはやはりハイブリッドスポーツコンセプトですか?

豊田社長 そうですね、あのクルマは本当に、個人的に欲しいなあと思うクルマです。

記者 現在開発を進めているFT-86というクルマがありますよね。あのクルマのオプションのひとつとして、ハイブリッド化するという選択肢はあるのではないですか?

豊田社長 う~ん、ひとつのシルエットのクルマに複数のパワートレーンを持つことがいいのか、またハイブリッドシステムというのは「走りを追求したクルマ」に使えるのか、そのためにまだまだやることがあるんじゃないか、と、いろいろとありまして・・・。

記者 「やること」というのは具体的にはどんなことですか?

豊田社長 例えば音です。ハイブリッドも気持ちのいい音を出せるようにするべきか。それともパワートレーンの変遷とともに変わっていっていいことなのか。そういうことを考えていかなきゃいけませんね。

記者 社長ご自身が考える「次世代のスポーツカーの姿」というのに最も適している駆動ユニットはハイブリッドですか? それともEVですか? あるいはレシプロエンジンを磨き上げたものですか?

豊田社長 いや~~~その質問は厳しいなあ。私がそれを言っちゃうといろんな開発が止まったりしてしまうので、言えません。言えないけれどコンセプト的な話をするならば、やっぱり私は「良品廉価」。多くの人の手に届くもので、そして走りが楽しいクルマということです。それに一番近いのはやはり・・・。

記者 するとFRホットハッチですか?

豊田社長 いえ、MR-Sの格好をしたハイブリッドスポーツです。と言ってもこれは、特に含みがある話というわけではないんですが(笑)。

記者 いやいや、こっちは深読みしますよ(笑)。

豊田社長 深読みするのが面白いよなあ・・・ストレートなんだけどなあ・・・。

開発中止説も流れたが、「ちゃんと作ってます。 止まってません。」とGAZOOスタッフよりお叱りの声があったFT-86。写真はG's版でターボを搭載

記者 いっぽうG'sのノア/ヴォクシーは、この手のコンプリートカーにしては好調な売れゆきのようです。

豊田社長 そうですね、ありがたいことです。G'sというのはもっと広い意味でね、クルマの楽しさを伝えられると思います。ノアやヴォクシーって、我慢して乗っているお父さんが多いじゃないですか。

 そうじゃなくて、こうすればもっと楽しくなるよ、ということです。

記者 その「楽しい」ということに関してですが、走りを楽しむためには、例えば先ほど社長はスポーツハイブリッドコンセプトの名前をあげられました。それとFT-86の話もでました。しかし昨今の若者のクルマ離れなどと合わせて考えると、どうしてもこれらのクルマだと高くなりますよね?

豊田社長 高くなりますよね。これはなんとかしなくちゃいけない。

記者 そこでGRMNならアイゴベースのFRホットハッチのようなクルマを、安くて楽しいクルマにできるでしょう。

聞きづらい質問、答えにくい話もあっただ ろうが、すべてのことにちゃんと真正面か ら答えてくれた豊田社長。さすがだ

豊田社長 あれはひとつのチャレンジとして意味があったと思います。オプションとしてこういう方法もあるな、ということがわかった。

 しかしあのボディを日本に持ってくるのは難しい、ではどうするか、ということも考えなければいけません。

 そして私の言う「走りを楽しむ」というのは、GRMNとかFT-86にかぎった話ではなくて、それこそパッソでもヴィッツでも楽しめるような、そういう走りの楽しさを求めていきたいと思っています。

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