日米政府で明暗を分けるスーパーWi-Fi
ホワイトスペース利活用の行方

ホワイトスペースの開放に踏み切った連邦通信委員会(FCC)のジュリアス・ジェナコウスキー委員長(2010NCTA会議で筆者撮影)

 携帯電話が爆発的に普及し、今や電波資源は私たちの生活を左右するほど重要な存在となっている。そんな中、新たな電波資源の争奪戦が始まっている。それが"ホワイトスペース"だ。

 2010年9月23日(現地時間)、米連邦通信委員会(FCC)は、デジタル・テレビ放送のホワイトスペース(White Space)を"スーパーWi-Fi"と命名して正式に開放した。一方、日本でも総務省が「ホワイトスペース推進会議」を2010年9月3日に発足させている。通信業界で注目が集めるホワイトスペースだが、日米を比較すると、そのコンセプトは大きく違う。国民の視野に立って、日本は電波資源を有効に活用できるのか─今回はこの問題を考えてみたい。

スーパーWi-Fi/ホワイトスペースとは何か

 ホワイトスペースは「未利用周波数帯域」などと訳されている。まず、身近なテレビ放送を例に説明してみよう。テレビのチャンネルを変えると番組が映らないチャンネルがある。この見えないチャンネルはその地域で利用されていない電波で、これをホワイトスペースと呼ぶ。

 ホワイトスペースはテレビ電波に限らない。たとえば、米国防総省では、湾岸沿いに多くのレーダー基地を設置している。内陸部にはレーダー電波が届かないホワイトスペースが多くある*1。今回、米国で開放が決まったのは、テレビ用の電波なので、TVホワイトスペースと呼ばれている。

 ところで、TVホワイトスペースは、本当に"誰も使わない未利用周波数帯域"なのか─といえば、そうではない。米国では、テレビの現場中継でキャスターが使っている無線マイクにTVホワイトスペースを利用している。また、劇場やスポーツ施設などで利用する無線マイクも同じだ。

モトローラ社のCATV向けWi-Fi基地局(2010NCTA会議で筆者撮影)

 では、なぜ米国政府はTVホワイトスペースの開放を正式に行ったのだろうか。

 やや皮肉な言い方をすれば"開放"と称して規制の網から逃れていた同帯域をFCCが取り戻したとも言えるだろう。

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