経済の死角

徹底検証「児童ポルノ禁止法改正案」の危うい中身

「単純所持」規制と、曖昧すぎるポルノの定義
---今国会に提出される問題法案を見逃すな!

2011年07月31日(日) フライデー
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「超党派で合意できることが望ましい」と語る小宮山氏。 ’09 年の3党合意に積極的に関わった一人である〔PHOTO〕鬼怒川 毅

 今から2年前、衆議院法務委員会で、一冊のヌード写真集が議論の俎上に載った。

 当時野党だった民主党の枝野幸男代議士(47)が、写真家・篠山紀信氏が撮影し、 '91年に出版された宮沢りえの写真集『Santa Fe』を例に、与党の自民・公明両党が提出した児童買春・児童ポルノ禁止法改正案を批判したのだ。

「単純所持の禁止は、警察が捜査する入り口を広げる」と批判する山尾氏。元検察官という経歴を持つ〔PHOTO〕鬼怒川 毅

 この時審議された改正案は、販売目的ではなくても、児童ポルノを所持しているだけで罰せられる「単純所持罪」を新たに設けたものだった。

 しかし、元々、児童ポルノの定義が曖昧だったため、『Santa Fe』を所有しているだけでも罰するのかという議論になったのだ。この〝サンタフェ論争〟が今夏、再燃する可能性が出てきた。

 今国会でまたもや審議入りすることが決まったのだ。

 後述するが、今回審議される児童ポルノ禁止法改正案は、漫画・アニメの表現規制にまで繋がる危険な法案である。

 今国会で自・公両党が提出する改正案は、 '09年に廃案になったものとほぼ同じ内容だ。「何人も、みだりに、児童ポルノを所持し、又は第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管してはならない」と、単純所持罪を明記しており、違反すれば、「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」が科せられる。

  '09年に改正案を提出した自民党・高市早苗代議士(50)は、単純所持罪を盛り込んだ理由を次のように説明する。

「インターネット社会では、一度流布してしまった映像、画像は回収不可能です。被写体となった子供たちの映像、画像は、次々とコピーされて拡散していくわけです。それに歯止めをかけるには、供給する側だけでなく、需要する側、つまり所有者に歯止めをかける必要があります」

 また、日本が「児童ポルノの一大供給国」として国際的に批難されていることもこの改正案の背景にはあるという。自民党の平沢勝栄代議士(65)が言う。

「インターネットで世界に拡散してしまうので、この改正案には外国からの要請という側面もあります。改正案の勉強会でも、先進国(G8)で児童ポルノの単純所持に罰則がないのは日本とロシアだけという報告がありました」

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