真壁昭夫(信州大学教授)×上田眞理人(FXプライム専務)緊急対談後編
「8月からの新レバレッジ規制でFXはどう変わるのか」

前半はこちらをご覧ください。

司会:本山華子(タレント)

ソブリンリスクとアメリカ経済が鍵

本山: このあと為替のマーケットが大きく動く局面があるとすれば、どこに注意すればいいのでしょうか。

真壁: それには、ユーロがどうなるかという問題が一つあります。私はヨーロッパに8年くらいいたのですが、ユーロという通貨には最初から懐疑的でした。短期的な視点でみれば、17ヵ国のうちで生産性も経済力もまったく違う国が、単一の通貨で、単一の金融政策で運営できるかというと、これはかなり難しいでしょう。労働力が移動して、均一化が図れるような状況になれば別ですが、それには時間がかかります。

 世界経済の状況が良いときはそういう問題が顕在化しないと思いますが、それが顕在化して、今ソブリンリスクの問題が出てきています。そのポイントとなるのはスペインでしょう。当面、7月下旬から8月にかけて、たとえばスペインのカハ・マドリードという中小の金融機関が上場したりしますから、そういうところで何か問題が顕在化してくると、ユーロが少し売られるかもしれません。そうすると、安全通貨である円が買われる可能性があります。そのマグニチュードが大きければ大きいほどその影響も大きくなります。

 もう一つは、アメリカ経済が今後どうなるかです。ストック調整がまだ終わっていない状況ですから、金利がすぐに上がるとは思いません。プロのディーラーが何をみているかというと、2年物のアメリカと日本の金利のスプレッドをみている人が多い。そこが開いてこないと、なかなかドルが上がりにくいのですが、開いてくるとドルが買われる状況になります。

 今すぐではないとしてもそういう状況になる可能性はあると思いますが、しばらくは円高基調が続くと思います。ユーロの金利は上がりましたが、今ユーロをやっている人たちは、とりあえずは金利をみていないですからね。金利はメジャーファクターではなく、どちらかというとマイナーファクターになっているので、信用力の問題になるんでしょうね。

上田: 私も同じような考え方です。金利の要因とソブリンリスクのような信用力の要因の綱引きなので、今後もその問題は、沈静化しては再燃するというパターンの繰り返しになる。ギリシャの問題はまったく解決していないですし、そうなると、ユーロは不安定ではあると思います。

 そうはいっても極端な暴落はないんでしょうけれど、利上げのスポットライトが当たることはしばらくないと思います。ECBはそれとはまったく関係なく金利は金利で上げていくでしょうから、しばらくはソブリン問題のほうにフォーカスが当たると思います。

 ドル・円については、今ドルが上がるかどうかは、日本サイドにまったく材料がないため、アメリカ次第だと思います。第一、第二四半期については割り引いて考える必要があるので、これから出てくる数字が良ければピックアップしてくるかなと思います。

 今の円高は、ちょっと行きすぎていて円が高すぎるとは思います。しかし、これを否定的にみる必要はないので、ひょっとしたら75円割れがあるかもしれませんが、アメリカの第三四半期の景気が本当に回復してきて経済指標が良ければ長期金利は上がるでしょう。相場はその動きを先取りしますので、そこをみながらドルがピックアップしていく可能性は十分あります。

 ですから、第三四半期の終わりくらいから、トレンド自体が転換していく可能性はありますし、先ほどのリスクオン・リスクオフの行動様式でいいますと、リスクオンのときにドルが買われて円やスイスフランが売られる、ということになる可能性もあると思います。そういう動きが出てくれば、トレンドの変化があるでしょう。

 円高・円安というのも何を基準にいうのかはわかりませんが、私は70円を割ってどんどんいくとも思っていないし、70~75円の間で長い間ステイするとも思っていません。また、一方で100円は私が死ぬまでないと思っています。今は85円くらいがフェアウェイかな、と思っていて、生活感を考えると85円とか90円というのはそこそこ悪くないでしょうね。

 そうすると、80円から下は円高、とくに75円以下は超円高、90円はもはや円安、95円は超円安になるでしょう。実際に2009年の4月から100円を超えてないですし、2010年は一回も95円を超えていないので、そういう状況で「100円まで戻る」と言う勇気は私にはありません。今年の後半までに87円とか、来年の3月までに90円台があってもおかしくないなと思っています。それはアメリカ次第で、前提となるのはアメリカの景気が回復すること、債務の上限についてきちんと話がつくこと、という条件付きですが。

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