郷原信郎氏×魚住昭氏 「主任検事逮捕! 証拠改竄! 特捜神話の崩壊」(前半)

2010年10月13日(水)
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郷原 一般事件をやってない。ちゃんとした事件を。

魚住 やってない。で、たぶん公判も知らないんです、あんまり知らないんです。

郷原 多分、そうですね。

魚住 要するに、基本的な行儀作法というのが分かってないんだと思うんですよ。

郷原 そういうことでしょうね。文書の犯罪っていうのが、どうやって裏付けを取って、どうやって事実を確定していくかっていうことが分かってない。

魚住 特捜の流儀でやっちゃったんですね。

郷原 そうです。お話を作ったんです、多分。うどんを捏ねたんです(笑)。

魚住 それがおかしいって言っては失礼だけど、いかにもありそうな話だけど、すごく滑稽にしか思えないっていう感じがありますね。

公安部検事と特捜部検事の違い

郷原 そうですね。彼の経験の中では、こんなこと初めてだったんでしょう。みんな、供述のレベルでは、なんとかかんとか、関係者の供述を総合するとということでなんとかなってきたんですよ。

 事実だってそんなに厳密に詰めなくたって、6月上旬「頃」(注・強調)に金の遣り取りがあったと、厳密に特定しなくたってすんだんですよ。そこがまったく違っていたということでしょうね。

魚住 今日、元検事の落合洋司さんていう弁護士さんと話していて、その落合さんが言うんですね。「虚偽公文書作成罪にとっては、フロッピーデータというのは最も大切な証拠なんだ」って。

郷原 そうです。

魚住 落合さんは特捜経験があんまりなくて、公安・・・。

郷原 彼、公安なんですよ。私も公安のほうがむしろ長かったんですね。

魚住 公安検事が言うんだったら分かるけども・・・。

郷原 公安部の事件と特捜部の事件と、報告書の作り方も違うんですよ。公安部の着手報告って、必ず右側に裏付けの証拠っていうのがある。だって、ほとんど自白ないですから、公安部の事件て。むしろ証拠が中心なんですよ、裏付けの証拠が。

魚住 なるほど。

郷原 特捜部の着手報告は、そんなのないですから。関係者の供述を総合して、ストーリーを書いてるだけなんですよ(笑)。

魚住 (笑)。

郷原 もともとそういうふうにして、裏付け証拠で確認していくっていう作業は、特捜にはあまりないんですよ。主任のところで供述の擦り合わせをするだけなんです。

魚住 じゃ、われわれの知ってる検察庁の検事さんの組織文化・風土と、特捜の風土っていうのは非常に異なるということですね。

郷原 そうですね。おそらく個人レベルできちんとした捜査をする、きちんとした人間は、自分の調書を取るときに自分で一応ウラを確認していくんだと思うんですよ。昔はそうやってウラを取って、自分の調書のストーリーが客観的な事実に反しないように確かめてはいたわけですよ、個人レベルで。

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