永田町ディープスロート

郷原信郎氏×魚住昭氏
「主任検事逮捕! 証拠改竄! 特捜神話の崩壊」(前半)

2010年10月13日(水)
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編集部 村木厚労省局長無罪判決、及び大阪地検特捜部データ改竄事件について緊急対談を行います。お越しいただいたのは、元東京地検特捜部検事・郷原信郎弁護士と、もうお一方、元共同通信社会部記者、その後フリーに転身され、長く検察の問題点を指摘されてこられた魚住昭さんです。魚住さんは村木(厚子)さんの裁判に関して『冤罪法廷』(講談社)を出版されました。

  まずその前に、今日(9月24日)、尖閣諸島中国漁船衝突事件の中国人船長の釈放が決定しました。那覇地検が、地検の判断で釈放を決めたと会見しました。日中間で極めて大きな問題となった事件で、地検が独自の判断で釈放を決定するということはあり得ることでしょうか。

郷原 刑事処分に関して、通常の刑事事件と同じようにどういう処分をするかという判断をして、身柄拘束を続けるかどうかの決定を行ったのであれば、別に問題はありません。ただ今回、身柄拘束を継続しない、釈放すると判断した理由の中に、「わが国国民への影響や今後の日中関係を考慮すると」という言葉が入っているんですね、次席検事の公式の説明の中に。

 これは検察として、身柄拘束を継続するかどうかを判断するときに考慮すべき事項じゃないと思うんです。外交上の配慮をして、身柄拘束を継続しないことにしたという。

 その身柄拘束を継続しなくても、刑事処分の余地を残すんであればいいんですよ。

 しかし身柄拘束を継続しなければ、本国に帰っちゃうわけだから、もう事実上処分できないんですよ。起訴はできないことになるわけです。この身柄拘束を継続しない決定というのは、刑事処分を断念するという決定に等しいと思うんですよ。

 そうだとすると、ここで外交上の配慮を理由にあげるのは、私は適切じゃないと思います。外交上の配慮っていうのは、内閣が内閣の責任においてやることです。そういうことを考えるのは内閣です。外交などを配慮して身柄拘束の継続を決定すべきだというのであれば、法務大臣の指揮権でやるべきだと思います。

編集部 もし内閣から指示があったならば、指揮権発動が実際にあったということになるわけですね。それは、内閣も地検も否定しています。

郷原 むしろ指揮権発動というのを明確に行うべきです。そうすると内閣の責任ということになるわけですから、それが良いか悪いかという判断はすべて内閣が責任を負うことになる。ところが、今回のようだと誰がどう判断したのかということが明確じゃない。責任の所在が不明確になってしまいます。私はその意味で非常に不適切な対応じゃないかと思います。

魚住 実際にはこれは指揮権の発動だと言っていいんじゃないでしょうか。もし指揮権が発動されてるんなら、指揮権が発動されたことを、今郷原さんが仰ったように、言うべきだし、もし指揮権が発動されておらずに、最高検と福岡高検と那覇地検が勝手にやったんだったら、これは要するに検察の機構が壊れているって話ですんでね(苦笑)。

郷原 そうですよ(苦笑)。

魚住 自分たちが依って立つところの法律的な基盤を、自ら壊すような行為ですよね。

郷原 ええ。

魚住 ですから結論から言えば、郷原先生が仰ったとおりだと思うんですけど

「指揮権発動なんてよくある話だよ」

郷原 今後、こういう措置をとったことが適切だったかどうか、当然問題になりますよね。そのときに今日官房長官は、自分たちは全然関係ない、法務大臣は指揮もしてないし、検察が勝手にやったことだと言ってます。それだと誰が責任を取ることになるんですかね。

 今後、同様な事案に対して事実上処罰ができないことになってしまう。それは日中関係に非常に大きな影響を及ぼす問題ですよね。それをこういう形で曖昧な決着をしちゃっていいんですかねえ。

次ページ 編集部 非常に不透明ですね。も…
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