賢者の知恵
2010年10月13日(水) 週刊現代

大研究 東大までの人東大からの人 2010年度版

週刊現代
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 とんでもない大天才もいれば、就職で一社も通らず留年する学生もいる。同じ東大生でもピンキリだ。日本中の「神童」が集まるとされる東大。しかし、ホンモノはわずか。「ただの人」が圧倒的に多いのも動かぬ現実だ。

[1] いま話題「アスペルガー症候群(発達障害)」の東大生たち

抜群の記憶力、でも空気が読めない

「人の気持ちがわからない、ということに気づいたのは中学生の時です。それまでは『他人の気持ち』というもの自体考えたことがなかった」

 と、その小柄な女性は静かな喫茶店にしては少し大きい声で抑揚なく話す。今春、東京大学文学部を卒業して、現在は都内に勤務する彼女は簡易チェックの結果を見て言った。

「私はアスペルガー症候群で間違いないようですね」

 アスペルガー症候群は、発達障害の一種で、簡単に言えば、知的障害のない自閉症のこと。言語面で遅れはないが、人の気持ちを理解できない、空気が読めない、興味のあることに強く執着する、といった特徴を持つ。300人に1人の割合で存在し、男女比で言えば9対1と、男性に圧倒的に多い。

「小学校の時は、人が自分のことをどう見ているか、全く気にしたことがなかった。だから特定の女の子とずっとべったりくっついていました。でもしばらくすると、なぜかその子が自分を避けるようになる。中学の時、人に言われてはじめて、自分が愛想をつかされていた、と知りました。以来、自分はみんなに嫌われていると思うようになって、暗くなりました。

 高校生になったころ、親の勧めで精神科に通院を始めました。抗精神病薬を処方されましたが、飲んでも効果はなかった。それから東京大学に合格して上京して。東京の病院で医師に『しゃべれるタイプの自閉症だね』と言われました。その時は深く考えてなかったんですが、今思えばアスペルガー症候群のことだった。

 人の気持ちがわからない、というのは、全体を複合的に見ることができないからだと思う。表情、声のトーン、文脈、を同時に処理できない。だから『会話中に真顔になったら怒っている』とか、自分なりに一ヵ所だけのものさしを作って人の感情を判断しています」

偏差値の高い学校ほど多い

 彼女はある時、人の気持ちが読めないだけでなく、空気も読めていないことに気づいた。

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