"ユーロ危機"は終焉したか?
〔PHOTO〕gettyimages

 7月21日のEU首脳会議で、財政危機に陥っているギリシャに対する総額約1800ユーロの追加支援を合意した。これによって、取り敢えず、ギリシャは2014年までの資金繰りの目途が立ち、危機的な状況からひとまず脱却することが出来た。

 それに伴い、最近まで弱含みだったユーロは、一部の投機筋などの買い戻しの動きなどによって反発する動きを見せている。"ユーロ危機"は、当面の山を越えたとみてよいだろう。また、ギリシャやポルトガル、アイルランドなど、ソブリンリスクの高まりによって売り込まれていた国債に買い戻しが入り、流通利回りが低下=価格上昇の傾向が見られる。欧州地域のソブリンリスクは、一旦、最悪の状況を回避できたといえる。

 ただし、これで問題がすべて片付いたわけではない。今回の救済策は、ギリシャの財政立て直しや、ユーロ圏が抱える構造的な問題は先送りしただけである。今後も、そうした問題が表面化する懸念は残っている。中・長期的にみると、"ユーロ危機"が再燃する可能性を頭に入れて置くべきだ。

追加支援策の二つの問題点

 民間金融機関からの支援を含む今回の救済策には、三つの問題点が潜んでいる。一つは、今回の支援は、2014年までギリシャの財政状況を保証するものであり、長期的な効果を及ぼすものではない。ということは、今後、ギリシャが、本当に財政を再建できるか否かはギリシャ次第ということになる。経済専門家の中には、ギリシャの自助努力に懸念を持つ見方が多い。

 二つ目は、民間金融機関に与える影響だ。今回の救済策によって、現在、ギリシャ国債を保有している投資家は、その一部をより期間の長い同国の国債に交換することになる。あるいは、一部の債権を放棄することになる可能性がある。それらは、いずれも、当該金融機関にとってマイナスの影響がある。つまり、損失が発生する可能性が高いのである。

 果たして、それらの金融機関が、損失発生の負担に耐えることが出来るだろうか。恐らく、体力のある大手金融機関はそれほど心配ないだろう。一方、体力の弱い中小の金融機関の中には、その重荷に耐えられないところもあるかもしれない。それが顕在化すると、金融システム不安が燃え上がることも懸念される。それは、世界の金融市場を不安定化させ、実体経済にも悪影響を及ぼす。

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