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 暮れも押し迫った12月末、オフィスがあるというマンションの1室を訪ねた。ごく普通の高層マンションの扉を開けると、天井まで積まれた段ボール箱が押し迫ってきた。

天井まで積み上げられた日本製品。1日平均70、80件の注文が入る。

 なじみのある日本メーカーの商品名が躍る。在庫をかきわけ奥の事務スペースにたどりつくと、中国人スタッフがパソコン前で注文データをチェックしながら、発送準備を始めていた。

「今日は月曜日でしょう。特に週末は注文が増えますからね。1日平均70、80件というところですが、今日は100件くらい発送することになります」

 と言うのは、上海欧貝薩諮詢有限公司の総経理(社長)の内田信さん。

 近頃、相手が日本人となると寄ると触ると、タオバオの話になる。タオバオは中国最大のC2Cのショッピングサイトで、中国ECの代名詞的な存在だ。

 会員数は軽く1億を超え、日本企業も注目している。タオバオでの出店代行業者もいくつかあり、「いっちょ、タオバオやってみるか」と出店するわけだが、景気のいい話は聞こえてこない。そんななかで順調に売り上げを伸ばす日系企業があるというので訪ねた。

「毒粉ミルク事件」が追い風に

 内田さんの会社がタオバオ内にショップを設けたのは、2008年7月。時期が良かったと言っては不謹慎だがその2ヶ月後、中国製粉ミルクのメラミン混入事故が発覚。日本製品への需要が広がり、一気に顧客数が増えることになる。

 当初は、上海出身の妻の小遣い稼ぎだった。最初の月の売り上げは、約7万元。9月に20万元になって、本気で取り組んだほうがいいと判断した。

「僕らがうまくいった理由は、ひとつは立ち上げ時の対応でしょう。朝7時から深夜2時まで電話やチャットに対応していました。これはもう妻の頑張りとしか言いようがないですね」

 リアル店舗のように営業時間を気にせず、深夜でも買物ができる。直接話す手間も省ける。クリックひとつで商品が届くのがネットショッピングの利点だが、それは日本的感覚。早々に捨てたほうがよさそうだ。

「中国人は初めて買うものに対して、本物かどうかということを非常に気にします。その確認のために電話をしてくることが多い。特に僕らが扱っているものは、ベビー向けですからなおさらです」

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