Facebook元CTOがスタートしたQuoraがQ&Aサービスに革命を起こす

 1998年、私達の「知りたい」という欲求に答えることを目的として、Googleの検索エンジンは誕生しました。そして検索エンジンの存在によって人間のライフスタイルは確かに豊かになりました。しかし、現状の「検索」という行為は私達のニーズに本当に「的確」に答えているのか・・・?

 そんな問いを抱いたのはFacebook共同創業者、そして同社元CTOのAdam D'Angelo氏でした。同氏は2008年にFacebook社を抜け、Quoraという新しい形のQ&Aサービスを2009年にスタートしました。このスタートアップは「ただの」Q&Aサービスではありません。

 従来のYahoo AnswersのようなQ&Aサイトは質問されたトピックにある程度詳しい人間が答えてくれましたが、そこでは良い答えもあれば、的外れな答え、そして時にはユーザー間で中傷が起きることも多々ありました。

 Quoraのセールスポイントは、非常にシンプルなインターフェース、Q&Aを通したソーシャル性、そして何より実名でハイクオリティーな回答提供にあります。今年3月にはBenchmark Capitalから約11億円の出資*を受け、現在市場価値80億円相当*と言われるQuoraというサービスについて、本日はご紹介したいと思います。

驚くほど、ダイナミックでスピーディーなQ&Aサービス、それがQuora

 Quoraの主な特徴の一つはそのシンプルさ。サービスにログインすると、まずは自分の興味のあるトピックや、気になる友達を選択出来ます。例えば私の場合は、「Entrepreneurship」「Technology」といったジャンルを選択します。

 またTwitterアカウントでログインした場合は、Quoraを既に使用しているTwitterフォロワー一覧も紹介してくれます。そしてサイトにアクセスすると、ログイン時に自分が選択した分野に関する他ユーザーが投げた「問い」の一覧が、タイムラインで表示されます。インターフェースはFacebook調で非常にすっきりしていて分かりやすいものになっています。

 そしてここからがQuoraの醍醐味。 質問一覧の中から気になる問いを適当にクリックした瞬間誰もが驚くこと、それは質問に対する回答の「圧倒的な質」です。参考になるというレベルを超えて、自分が以前から尊敬をしていた専門家が質問に答えてくれます。もちろん、こういった専門家がいる場に自分から質問を投げることも可能。

 例えば、「何故Facebook社員の多くは、FoursquareではなくGowalla(位置情報サービス)を好んでプレーするのか?」という(ある意味マニアックな)問いに対して、答えを提供しているのはFacebook元社員2人、そしてFoursquareへ出資をしている投資家を含めた3人。

参考リンク:
*Quora Crunc Base Profile
http://www.crunchbase.com/company/quora

 
*元Facebook幹部が新サービス、Web検索のすき間を埋める『Quora』公開
http://journal.mycom.co.jp/news/2010/06/23/008/index.html

 Quora上では、今までTwitterでも出会えなかった専門家が自分の気になる質問に直球で答えてくれるのです。また、FacebookやTwitterの流れに乗った実名性でサービスを展開することで、Quora上では専門家以外のユーザー間でも健全な議論が展開されています。

さらに、質問が私達の興味を可視化していることをQuoraは見逃しませんでした。同じ質問をクリックする人々は趣味が似ているはず、その点に気づいたQuoraは サービス上で、「質問をフォロー」することを通してソーシャル性/コミュニティー性を創出しているのです。

 Quoraはあえて答えの「量より質」にこだわり、人々の繋がりが生まれる舞台を世界に提供しています。

「Quoraという新しいエキサイティングな旅に出たかったから」

 2008年、とある人物がシリコンバレーで最も成長する会社を去りました。このニュースを耳にして、多くのブロガーが衝撃を受けましたが、2010年彼は新しいスタートアップと共に業界に戻ってきたのです。それがQuora共同創業者のAdam D'Angelo氏です。

 同氏はFacebookを創業したMark氏とは高校からの仲間。ご存知Facebook自体はMark氏がハーバード大学の寮で創業したのですが、Mark氏が最初のパートナーとして選んだのがアルファギーク(=最高のエンジニア) のAdam氏でした。Facebook社が東海岸からシリコンバレーへ拠点を移動したのは、Adam氏が当時カリフォルニアの大学に通っていたことから、とも言われています。

 しかし同氏は、2008年親友と共に成長させたスタートアップを去ります。「Facebookはもう十分大きくなったし、僕の力はもう必要なくなったと思ったんだ。何より新しいスタートアップを創ることが面白いしね」、とAdam氏は語っています。

 そんな彼があえてQ&Aという分野を選んだ理由は何だったのか? Adam氏は以下のように答えています、「ウェブ技術はこの数年でどんどん発達しているけど、人々の頭の中にある知識の多くが実はまだウェブ上に存在していないことに僕は気づいたんだ。だから、Quoraは人々が今まで持っていた知識が共有されるオープンな場所を狙ったんだよ」。

 Yahoo Answersより的確な回答提供、そしてWikipedia程の敷居が高くないサービスを設計することで、Adam氏は起業家としての新たな挑戦をQuoraにて実現しているのです。

 情報、人との出会いを変えるのはFacebookでもTwitterでもなく、ウェブ上に知識の共有の場を創るQuoraかもしれない

 当初は知識人や専門家を厳選した招待制でスタートしたQuoraも、今年6月からは一般公開されました。そして、同時期にQ&AサービスのAadvarkがGoogleによって約50億円で買収*、またFacebookも噂になっていたFacebook Questionsをリリースしました。前回の記事で紹介したHunchを含めQ&A市場には競合が多数いますが、Quoraがあくまでもこだわるのは「議論の質」。

 5億人を対象にしたFacebookでの曖昧な議論より、人々が抱いている質問にリッチな答えを提供すること、そこを通して彼らは差別化を図っています。同サービスは現時点では、テクノロジー関連の話題に重点を置いていますが、今後はより広範囲のトピックで展開を進めていく様子です。

 質問という共通項を通して、新たなソーシャルグラフを構築していく実名性Q&AサービスのQuoraは、人間同士の関係性をもう一度、変革するかもしれません。

参考リンク
*Google Acquires Aardvark For $50 million (Confirmed)
http://techcrunch.com/2010/02/11/google-acquires-aardvark-for-50-million/
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