短期集中連載
原辰徳「ONと比較され続けた男の光と影」

第1回 巨人軍崩壊---  急浮上した「新監督候補の名前」
〔PHOTO〕gettyimages

取材・文|吉見健明(スポーツライター) 

 8年前の光景が頭をよぎった。

 交流戦が終わり、セ・リーグが再開するタイミングで渡邉恒雄・読売巨人軍会長(85)が、「采配に疑問がある」

 と原辰徳監督(52)を公然と批判。

 7月7日の七夕の夜には、「統計的にもう(優勝は)無理だ」

「誰が、どうしてこんなにしたのか。ちゃんと解明する」

 と、今度は個人名こそ出さなかったものの、さらに強い口調で原ジャイアンツを批判した。思えばあの時もシーズン途中、渡邉会長が公然と原を批判したことで悲劇の幕が開いた。

  '03年9月、原巨人が首位をひた走る闘将・星野仙一率いる阪神タイガースに10ゲーム差超の大差をつけられると、渡邉オーナー(当時)は、

「原の続投? まだ分からんよ。(9月19日からの)阪神戦3連戦で3連敗したら話は別だ」

 と前年、チームを日本一に導いた若き指揮官の進退問題について言及。その2日後に読売の系列紙『スポーツ報知』が「辞意申し出か」と一面で打ち、辞任騒動が勃発した。

「辞めない」「チームを建て直す」

 本人は必死に否定したが、須藤豊氏の招聘、篠塚和典総合コーチの二軍への配置転換など、球団主導の〝テコ入れ人事〟に反発した原は、詰め腹を切らされる形で辞任した。その記者会見の席でオーナーに「読売グループ内の人事異動」と切り捨てられた彼が、甲子園での阪神との最終戦で涙ながらに星野と抱き合ったシーンは記憶に新しいだろう。