歳川隆雄「ニュースの深層」
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原子力発電所の対外売り込みに関してブレまくる菅直人首相の発言
一日も早い退陣を

2011年07月23日(土) 歳川 隆雄
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13日、「脱原発依存」発言をする菅直人首相〔PHOTO〕gettyimages

 相変わらず、菅直人首相の発言がブレまくっている。仰天した直近の発言は、7月21日午前の参院予算委員会での首相答弁である。菅首相は、昨年秋以来、自らがトップセールスしてきた原子力発電所の対外売り込みに関して、以下のように答弁したのだ。

「もう一度、きちんとした議論がなされなければならない段階に来ている」と、原発輸出の見直しが必要との考えを示した。これもまた、先の「脱原発依存」発言(13日の記者会見)同様、首相の「個人の考え」だと言い募るつもりなのか。

 菅首相は昨年10月1日、ズン・ベトナム首相との日越首脳会談で総額1兆5000億円に及ぶ日本製原発の対越輸出の合意に達し、「日本経済再生にとっての光明である」と明言していたのである。そもそもこの原発受注は、菅首相の肝いりで発足した新成長戦略実現会議(議長・菅首相)が打ち出したパッケージ型対外インフラ輸出戦略の"目玉"であった。もちろん、3・11東日本大震災による東京電力福島第一原発事故によって、当初予定の今年4月の正式成約は今秋以降に順延となった。それでもベトナム政府は、同国の第2期原発建設について日本製原子炉の導入方針に変わりはないと言明しているのだ。

 それだけではない。我が国有数の原子炉メーカーである日立製作所は14日、バルト3国のひとつ、リトアニアが新設する原子力発電所について、受注に向け優先交渉権を獲得したと発表した。その詳細は、日立・米GE(ゼネラル・エレクトリック社)連合が130万kW(キロワット)最新型沸騰水型原子炉(ABWR)の2020年稼動を目指し、同国北東部のビサギナスに原発を建設するというものだ。

 リトアニアのビサギナス原発受注を正式成約まで持ち込めれば、原発新設を予定する周辺国の北欧・フィンランド、同じバルト3国・ラトビアでの受注可能性にも弾みがつく。さらに、3・11以降も日本製原子炉の導入を繰り返し表明しているトルコと中東での原発ビジネスの鍵を握るヨルダンの両国での受注も期待されている。

 このように日本はオールジャパン体制で、原発大国のフランスをはじめ、米国、韓国などと鎬を削って対新興国原発輸出促進に傾注してきたところに、菅首相の突然の原発輸出見直し発言が出来したのである。トップセールスを推進してきた菅首相のこの発言には、原発プラント輸出関係者は驚くと同時に、深く失望したのは当然だ。経団連(米倉弘昌会長)など経済界を筆頭に、当該の日立、東芝、三菱重工の原子炉メーカーやプラントメーカーなどから総スカンを食らっている。オールジャパン体制構築に力を注いできた経済産業省も強く反発している。

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