雑誌
総括! クルマ界の封印されたもの
日の目を見ずにボツとなってしまったもの、 出たがすぐにダメになった
もの・・・。 クルマ界のそんな珍な「もの」、「こと」
を改めて 総括してみると・・・

『封印作品』。最近よく耳にする言葉だが、文学、マンガ、映画、テレビドラマ、TVCM、小説などなど、発売、公開はされたがなんらかの事情(わいせつ系、差別系)で、その後姿を消したものを指す。

 理由も説明もなく公開をやめたり、流通しなくなるケースがほとんどだから、噂が噂を呼び、注目度が強烈にアップするが、その時にはもう存在しない、というパターンが多い。

 クルマ界にもいろいろ封印されたものが存在する。ここ数年でいえば、ホンダのNSX後継V10スポーツは封印されたものの典型例。事前に発売すると明言しておきながらお蔵入り(=封印)したクルマというわけだ。ガッカリした人も多かったハズ。

 そのほかにも出す出すといいながら封印されたクルマは星の数ほどある。

 まぁ、この時は当時の福井社長自らが、開発中止を発表するという異例の事態だったのだが、クルマ界の封印されたものの場合、芸術作品などと違うのは、封印された理由がハッキリとしているということにある。

 クルマそのもの、技術的要素、メカ的なもの、CM、車名などなど、クルマ界の封印されたものをあれこれ探し出してみた。

広告・宣伝 イメージアップのつもりが逆効果

 クルマにかぎらずCMは商品のことをアピールし、販売増強につなげるために製作。しかし、その意図とは逆に、誤解を受けて封印されたものも存在する。

 さらにはイメージキャラクターの不祥事など、不測の事態によりお蔵入りになるケース、CMそのものにはまったく問題はないのだが、社会的風潮により封印されてしまったものなどをここではピックアップ。

タイミングが悪くて封印

 30歳以上の世代なら、ああ、これね、となるのが、'88年にデビューした初代日産セフィーロのCM。コピーライターの糸井重里氏が考えた、『くうねるあそぶ』というフレーズは流行語にもなったが、もっと話題になったのがミュージシャンの井上陽水氏を起用したTVCM。

 森の中を駆け抜けていくセフィーロの助手席の窓が開き、陽水氏がニヤリと笑い、

「みなさん、お元気ですか? 失礼します」

 と、いって走り去る、というだけのものだったが、陽水氏の一種独特な雰囲気がある種、怖い物見たさみたいな感じで見る者を惹きつけた。

 しかし、その頃昭和天皇が体調を崩されて入院。不謹慎なものなどを自粛するというムードになった。で、このCMもやり玉に挙げられたというわけ。

セフィーロは陽水氏のCMだけでなくあの手この手でイメージ戦略を仕掛けた

 このCMで何が問題になったのかといえば、陽水氏の独特の滑舌により、みなさんという呼びかけが、“宮さん" に聞こええるというクレームが殺到したということで、陽水氏の音声をカットして、ビジュアルはそのまま流した(これはこれで大反響となった)。

 日産サイドが音声カットという荒技に出たのは、別バージョンのCMを撮影していなかったからといわれているが、話題になったことで広告効果が見込めるということで、けっこう長い間無声バージョンが流された。

 “宮さん" の件について広告代理店などに問い合わせてみたが、その真偽はわからない。自粛ムードを肌で感じた日産サイドが自粛したという説もあるが、封印されたと同時に都市伝説になったクルマCMは後にも先にもこの初代セフィーロの陽水CMしかない。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら