小池良次「シリコンバレー・イノベーション」

日本のスカイプ電話やフェースブックのユーザーも要注意 オバマ政権が狙う「連邦盗聴法改正案」の落とし穴

2010年10月02日(土) 小池良次(Ryoji Koike)
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ブラックベリーの高いセキュリティーを解説するRIM社のジェームス・バルシリー共同最高経営責任者
(2008年CTIAにて筆者撮影)

 米ニューヨーク・タイムズ紙(9月27日付)によると、オバマ民主党政権は来年の連邦議会に向け"盗聴法改正法案"を準備している。今回の改正では、インターネット向け通信傍受の強化をねらっており、ブラックベリー端末による暗号メールやフェースブックなどのソーシャル・ネットワーク、スカイプのようなP2P電話などが含まれている。

 フェースブックやスカイプ電話は日本でも多くのユーザーが利用しており、私たちも対岸の火事と静観しているわけにはゆかない。米国の盗聴法改正は日本人ユーザーのプライバシーやセキュリティーを直接脅かす可能性がある。ネット・ビジネスの国際化で増える越境ユーザー(国を超える利用者)は、通信行政に複雑な問題を生み出している。

日本国内の相手でも、米国で傍受されてしまう可能性

 今回の盗聴法改正案が来年提出され、もし成立すれば、基本的に米国のインターネット・サービスを利用するユーザーは、国の区別なしに米公安機関のよる通信傍受の対象となる。これは意外な落とし穴となるだろう。

 たとえば、東京から大阪までスカイプで電話をした場合、もしその通話が米国の管理サーバーを経由していれば、理論上、米国公安当局は傍受をできることになる。同様に、日本の知人や友人同士が楽しくフェースブックで交流していても、そのメールやアップロードした写真、書き残したメモなどが米国のサーバーにある限り、米国の公安当局が傍受あるいは閲覧することができるようになる。

 誤認捜査などで日本人のプライバシーが侵害されても、日本の司法権は米国まで及ばない。日米政府間で特別な合意文書でもないかぎり、ユーザーは泣き寝入りせざるを得ないだろう。

 もちろん、通信傍受には裁判所の許可がいる。しかし、こうした釈明を鵜呑みにするのは禁物だろう。2008年7月、米連邦議会はテロ対策のために情報機関が「裁判所の令状なしに盗聴すること」を合法化している。現在はプライバシー保護を訴えているが、当時上院議員だったオバマ氏もこの投票には賛成票を投じている。

インターネットの奥深くに潜む犯罪・テロ組織

 米国では1994年にCALEA(Communications Assistance to Law Enforcement Act)と呼ぶ盗聴法が制定されている。これにより、公安機関は裁判所の許可をベースに電話(固定・携帯)、ブロードバンド、インターネット電話(VoIP )(*1) のリアルタイム傍受を行うことができる。今回の改正は、これをソーシャル・ネットワークや携帯メール(暗号メール)などにも拡大することを狙っている。

*1 VoIPとはVoice over IPの略称。ブロードバンドを使って音声通話を行うために使う通信手順やサービスのことを指す。VoIPは、光電話のような閉鎖網でも、スカイプのようなインターネット(公衆網)でも利用できる。
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