ドキュメント「検察崩壊」 検事総長を守れ――「生け贄」にされた特捜検事
この期に及んで「組織の論理」
悪いのは前田検事だけなのか

 新聞のスクープ記事が出てから、たった半日での逮捕劇。検察という組織は、これほど簡単に人を逮捕できるのか。前代未聞の不祥事によってずたずたにされたエリート軍団・検察庁があがいている。

気持ち悪いくらい早い逮捕

 大阪地検特捜部・前田恒彦検事(43歳)は、最後の最後まで、自分が「逮捕」されることなど想像さえしていなかった。

「ちょっと下で待っててくれ」

 前田検事は9月21日夕方、二人の同僚検事と夕食をともにする約束をし、大阪・中之島にある合同庁舎1階で待ち合わせていた。

 この日朝、朝日新聞が1面トップで〈検事、押収資料改ざんか〉と報じ、記事中では名前を挙げていなかったが前田検事に疑惑がかかっていることをスクープしていた。

「前田検事はまっすぐ帰宅するわけにもいかず、同僚と食事の約束をしたんですが、待てど暮らせど前田検事が降りてこない。不審に思った同僚が上の階に見に行くと、検事正室の前に数人の検事が立ち、入室できないように『ガード』していた。そこではじめて前田検事が"軟禁"状態に置かれたことがわかったそうです」(大阪地検関係者)

 証拠として押収したフロッピー・ディスク(FD)の記録を書き換えるという、前代未聞の暴挙に及んだ前田検事は、あっという間に「検事」から「被疑者」へと転落した。

「この日夜8時半ごろに、東京・霞が関の最高検で記者会見が開かれるという連絡が入った。その時点で、『21日中の逮捕だ』と分かったんです」(全国紙司法担当記者)

 大阪地検内で、前田検事に対する逮捕状が執行されたのは午後8時40分だった。

 最高検・伊藤鉄男次長検事は畳み掛けるように9時15分から記者会見をはじめ、事実関係を報告した。前田検事が「軟禁」状態に置かれてから、わずか2~3時間のうちにすべてが「決着」したのだ。

「今回の早々の逮捕は、明らかに検察の組織防衛です。私の事件がそうだったように、国民から次々に告発されて、内情が暴露され、検事総長の責任問題にまで発展することのないように、一挙に動いた」(元大阪高検公安部長・三井環氏)

 今回、前田検事のFD改竄事件捜査に投入された検事、事務官は合わせて9名。最高検検事が主任を務め東京地検検事らが加わった。

 23日には前田検事の上司だった大坪弘道・京都地検次席検事(前大阪地検特捜部長)と佐賀元明・神戸地検特別刑事部長(前大阪地検特捜部副部長)を東京に呼び出し、事情を聞いたほか、前田検事の上司、同僚らから一斉に任意で事情聴取する。

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