俺たちのガンプラ30年史 [前編]

「どこまでもリアルに」第1号を作った職人の開発秘話
FORZA STYLE
菅原浩司さんが自慢のコレクションを公開。「将来は、もっと大きな倉庫を借りてでも、全商品を保存します」

 誇らしげに言う菅原は、9歳で初めて「1/144スケール ガンダム」を作って以来、30年間途絶えることなくガンプラを買い続けてきた。「就職してからも給料の半分をガンプラに費やしてきた」と、ガンプラの魅力を滔々と語る。

 熱狂的なマニアを生み出してきたガンプラの30年は、バンダイという玩具メーカーが、「ガンダム」という空想の世界観をリアルに再現するという"矛盾を孕んだ命題"に挑戦し続けた歴史とも言い換えられる。

 バンダイによれば、約980種類(イベント限定販売品などを除く)のガンプラが製造され、累計販売数は4億個を突破した。注目すべきは、すべてが「メイド・イン・ジャパン」である点だ。

 ガンプラは「バンダイ ホビーセンター」(静岡市葵区)、通称"ガンダム工場"から生まれる。訪れると、壁面のソーラーパネルに残暑の強い日差しが反射していた。

「ソーラーパネルで発電し、下水などは雨水を浄化して使用しています。ガンダムの世界と同じく、スペースコロニー(宇宙居住区)で暮らしているイメージを持っていますから、エネルギーも自給自足で賄わなくてはなりませんよね」

 快活に話すのは、ホビーセンター長の佐々木克彦(49)だ。それまで静岡県内に点在していた工場が手狭になったため、'06年に作業場を1ヵ所に集約した。それがホビーセンターである。建設の計画段階から関わった佐々木らのコンセプトは明確だった。

現在の設計は3D-CADで行われる。画面上にパーツが立体的に表示され、分割の方法や変形などのギミック(仕掛け)を施していく

「ガンプラを作る工場ではあるが、むしろ『ガンダムを作っている』という意識を従業員が共有する」

 この"世界観"の共有のために、佐々木らは工場の細部にまで演出を凝らした。

 例えば、工場の入り口には『ANAHEIM ELECTRONICS(アナハイム エレクトロニクス)』という文字が大きく表示されているが、この社名はアニメシリーズに登場するモビルスーツを製造する架空の企業名だ。

 また、すでにメディアで取り上げられているが、スタッフ全員が地球連邦軍(ガンダムを擁する軍)の制服を着用して仕事に励んでいる・・・。ちなみに3階建ての工場の高さは18m。ガンダムの全高と一致させている。

1/144の縮尺に驚愕!

 そのホビーセンターで、現在も"ガンプラの生みの親"は、静かに微笑んでいた。30年前に初めて売り出された「1/144スケール ガンダム」を設計したその男も、やはり地球連邦軍の制服を着て、私に語りかけた。