為替市場の動きから見る世界経済-欧米諸国の苦難続く
ブリュッセルのEU〔PHOTO〕gettyimages

 足許の為替市場の動きをみると、ソブリンリスクの高まりを背景にして、ユーロ安傾向が鮮明になっている。7月第2週に入ってからは、今までのギリシャやアイルランド、ポルトガルといったソブリンリスク常習国から、スペインやイタリアという経済規模が大きい諸国にリスクの波が押し寄せている。今後、EUが政策対応を誤るようなことがあると、その高波がさらに世界規模に広がることも懸念される。

 一方、大西洋をまたいだ米国でも、国債発行の上限について、オバマ政権と共和党との協議が思ったように進まず、格付け会社から「最上級格付けを見直すことも考えられる」との警告が出ている。それに伴い、ドルも不安定な展開になっている。

ソブリンリスク高まりの背景

 ギリシャやアイルランド、さらにはスペイン、イタリアがソブリンリスクの高まりに苦しみ、米国で政権サイドと野党とのコンセンサスの形成に手間取っている現実を、単なる財政悪化の問題と捉えることは適切ではない。むしろ、その背景にある重要なポイントを見逃すことはできない。

 重要なポイントとは、2008年9月のリーマンショックに続く金融不安の中で、政府の債務残高が雪だるまのように積み上がってしまったことだ。何故、そうなったかと言えば、政策当局が金融不安を黙って放置しておくと、実体経済が大きく落ち込む可能性を回避するために、厳しい財政状況よりも景気回復を優先した結果なのである。

 2000年代初頭以降、世界的な不動産バブルの発生により経済活動は活発化し、多くの経済主体は好景気を謳歌した。その過程で、人々は借入によって手元資金を増やし、投資収益を増やす手法=レバレッジを掛けることに寛容になった。不動産や株式の価格が右肩上がりで上昇する中では、人々の心情として、「借金をして稼いだ方が、より多くの利益を手にできる」と考えがちだ。

 事実、多くの人々や企業がレベレッジの恩恵に浴したのである。資産価格が予想した通り上昇すると、2倍のレバレッジを掛けることで、手元資金だけで投資をしていた時の2倍の利益を手にできる。

 ところが、資産価格は永久に上がり続けることはない。どこかでピークを打って下落局面に入る。そうなると、今度は、レバレッジが逆に作用してくる。資産価格が下落し始めると、2倍のレバレッジを掛けると、手元資金だけの投資に比べて2倍の損失が発生することになるのである。それがレバレッジの怖さだ。その怖さが、今、ソブリンリスクという格好で表面化している。

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