東京地検特捜部が睨む小沢捜査「Xデー」
焦点は世田谷の豪邸への「家宅捜査」

 小沢一郎民主党幹事長への検察捜査は、「検察改革」を迫る小沢氏周辺への捜査検事の反発から始まり、現在、最終局面を迎えている。

 そういう意味で、「民主VS検察」「小沢VS検察」という対立構図で描くのは正しいが、この対立はこじれにこじれ、食うか食われるかの総力戦に突入した。検察は今、「Xデー」に向けた準備をしている。

 1月16日の党大会で「毅然として戦っていく」と、“決意”を表明した小沢氏だが、「説明責任を果たしていない」という世論や民主党支持率の急落を受けて、事情聴取に応じる方針を固めた。一見、「軟化」しているように見える。

 騒動を好まない樋渡利秋検事総長ら検察首脳のなかには、「検察人事に手を出させない代わりに、小沢捜査を終息させる」といった“取引”を模索する動きもあるという。

 しかし、捜査現場の東京地検特捜部は違う。捜査を通じて、小沢氏が「刃向かうやつは許さない!」という「恐怖の支配者」であることを熟知、「叩き潰さねばこっちがやられる」(検察関係者)と、厳しく認識している。

 事実、民主党の弁護士資格を持つ議員らは「捜査情報漏えい問題対策チーム」を設置、情報をマスコミにリーク、一体となって攻めかかる検察捜査を徹底追及する方針だ。

 「小沢シンパ」の一新会のメンバーは、検事総長人事の「国会同意制」、法務相の機動的な指揮権発動、都道府県の検事正の選挙制などを検討、「法務・検察」の秩序を揺るがせようとしている。

 また取調室の録画録音を義務付ける可視化法案や予算の削減など、「法務・検察」を政権与党の立場でイジメにかかることも考えられる。

 なにより小沢氏は、「独裁者」とも言われるほどの強い意志で、これまで対立するものを跳ね飛ばし、潰してきた。側近といわれる政治家でも、いったん対立すると徹底的に干しにかかった。

 一度ならず二度までも自分を「標的」にした検察を許すわけがない。最低限、今夏に勇退する樋渡総長の後任を認めず、検察庁に「政治主導」を持ち込むことだろう。

 しかし、お前にそんな資格があるのか!

 これが、特捜検察の小沢氏への思いである。

検察が狙う「水谷建設の裏ガネ」

 捜査権と公訴権を持つ特捜検察のパワーは半端ではない。乾坤一擲の戦いに臨んで使えるものは何でも使う。

 応援検事を地方から呼び、徹底捜査しているのは、世田谷秘書宅を購入した4億円の原資である。

 水谷建設の水谷功元会長から「石川知裕秘書(現代議士)と大久保隆規秘書(別の政治資金事件で公判中)に5000万円ずつを渡した」という供述を得ている特捜部は、19日、山崎建設と宮本組を新たに家宅捜索した。

 水谷建設、山崎建設、宮本組は、胆沢ダムにおいて鹿島や大成建設といったスーパーゼネコンの下請けに入ったサブコンである。彼らには、政界、地元有力者、暴力団などをカネで黙らせる“前捌き”という役割がある。

 そのための原資はゼネコンから上乗せされ、自分で直接、政治家に渡す分もあれば、ゼネコンに渡す裏献金分もある。その供述は、水谷だけでなく、山崎からも宮本組からも取れているという。

 そうした供述を、逮捕済みの石川、大久保、池田光智の3人の秘書たちに突きつけて、「世田谷の秘書宅購入に裏ガネを使った」という政治資金規正法違反を認めさせる。それが小沢氏の指示と了解のもとに行われたという供述を引き出して、同法違反の共謀共同正犯で「小沢逮捕」に持っていくというのが特捜検察のシナリオである。

 補強のために、3人の秘書の拘留期限が切れる2月初旬以降の小沢邸への家宅捜索は欠かせない。たとえば、株、債券、不動産などの形で「小沢一郎の個人所有物」として残っていれば、脱税事件を視野に入れた捜査となる。

 政治資金規正法違反で略式起訴、脱税容疑の家宅捜索で割引金融債や金の延べ棒が見つかり、脱税逮捕された金丸信元自民党副総裁とまったく同じ構図である。

 皮肉にも、その時、捜査対応をしたのは小沢氏であり、検察捜査の恐ろしさと政治資金隠匿の難しさを実感している。

 だから、「親父」と慕う田中角栄、金丸信のような豪快な手法ではなく、いじましい努力を重ねながらあっちの団体からこっちの団体へと資金移動を重ね、報告書に記載する金額を調整していった。その結果を政治資金収支報告書として作り上げていった。

 そうした“工作”は、「平時」なら見逃されても、特捜検察との戦いの前ではこじあけられる。

 不正蓄財の「タマリ」を家に現金で置いておきたくない。そのため不動産を購入、その際、裏ガネは政治団体を使ってロンダリングした。――もし、そうした検察が描く構造が明らかになれば、事件化は避けられない。

 国民が監視しているなかでは指揮権発動は難しく、逮捕許諾権の請求は通すしかあるまい。

 Xデーは、刻一刻と近づいている。

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