「菅首相再選」など話題にもならなかった「天津のダボス会議」でキーパソンを直撃!
自信満々の中国が圧倒

 9月13~15日、世界経済フォーラム(通称「ダボス会議」)主催の「夏のダボス」が、北京郊外の人口1000万人の港町・天津で開催された。

 ダボス会議は、「経済界のサミット」とも称され、毎年1月末に、スイスのダボスに世界のVIPが集結して行われる。ところが中国経済に対する関心が、近年急増しているため、毎年9月に中国で開くようになった。私は04年にメンバーに加えてもらって以降、7年連続で参加している。

 今回は、世界85ヵ国から約1500人が天津に集まった。開催国の中国からは、温家宝首相、李克強副首相を始めとする多数の閣僚、世界最大の携帯電話会社「チャイナ・モバイル」の王建宙CEOら主要企業のトップ、IMF総裁顧問の朱民博士ら主要経済学者らが勢揃いした。

 日本からは、竹中平蔵慶大教授、重村智計早大教授、河野太郎自民党幹事長代理、浅尾敬一郎みんなの党政調会長らが参加した。民主党は、鳩山前首相が日本ダボス議連の会長を務めているにもかかわらず、代表選と重なって欠席した。

 今回の「夏のダボス」のテーマは、「持続可能な成長へ向けて」だった。アメリカ発の金融危機から丸2年を迎え、世界経済は持続可能な成長に向かうのか、また中国はどのような役割を果たすのか、といったことが主要な議題となった。

 まずアメリカに関しては、当のアメリカの大企業のCEOや著名学者たちから、以下のような悲観論が相次いだ。

「これまでアメリカは、失業者が増すたびに新進の起業家が現れて危機を救ってきたが、もはやいまのアメリカに、そんな余力は残っていない。金融危機の『二番底』が迫っている」

「アメリカ人は金融危機で節約と貯蓄を学んだが、皮肉なことにこれが内需主導型の経済復興を阻害している。アメリカ経済は当分、復活できない」

「弱体化したオバマ政権は後手後手に回っている。あと2年間、9%の失業率が続けば、スタグフレーションを併発し、アメリカは内部崩壊するかもしれない」

「アメリカは産業の空洞化で、製造業200万人、建設業300万人の雇用を失ったのだから、末期的だ。最後の手段として、戦争を起こすしかないのではないか」

「あと一世代たてば中国からグーグルが生まれる」

 では、アメリカに変わって誰が世界経済の牽引役となるのかというと、やはり中国が「主役」との見方が、有力だった。

「日本は政治の混乱が経済発展を阻害し、欧米は金融危機の後遺症に悩んでいる。そんな中、中国が世界の期待を背負う時代が到来した」

「その通りだ。日本は約1年で首相が3人、蔵相は5人も変わって、経済政策どころではない。日本と裏腹に、中国の経済成長の背後には、強力な政治的リーダーシップがある」

「中国最大の資源は、人口、人材だ。中国は、教育水準を向上させることと、社会的セーフティネットを整備することで、持続的な発展ができるに違いない」

「いまの世界で経済発展の牽引役になれるのは、第一に中国、第二にインドだ。金融危機は、中国がトップリーダーになる道を早めた。中国がくしゃみすれば世界中が風邪を引く時代が到来した」

「中国の賢明な点は、人民元の国際化に乗り出したことと、東アジアの域内貿易、域内投資を重視していることだ。中国の今後の注目点は、貨幣政策、物価動向、国際要因の3点だ」

「あと一世代経つと、中国がアップルやグーグルを創り出し、アメリカに代わって本格的な『中国の世紀』を迎えるだろう」

 温家宝首相も重要演説を行い、その模様は中国全土に生中継された。核心部分は、次の3点だった。

(1) 2年前の世界的金融危機によって、中国の経済成長モデルは、輸出依存型から内需依存型へと移行した。だが今後は、内外需を両翼にして飛翔していく。

(2) 中国は経済改革に続いて政治改革を断行する。

(3) 中国政府はチャイナ・ブランドを後押しし、サービス業を外資に開放し、省エネ社会を築いていく。

 たまたま私の隣席で聴講していた著名な経済学者の方竹蘭・中国人民大学経済学院教授に解説してもらった。

「6月以降、人民元を切り上げても、輸出は鈍化していないことが中国政府の自信になっています。また、中国人は民主主義に憧れを持っていますが、経済改革に30年かかったことを鑑みても、今後の政治改革には長い年月がかかるでしょう。チャイナ・ブランドの構築は、欧米に学ぶことが多いですが、省エネ社会のために中国が学ぶべきは、何と言っても日本です。ただ、日本の政治の混乱を見ていると、民主主義への憧れが薄れていきますね」

 少しイヤミも言われてしまった。だが実際、今回のダボス会議中に「菅首相が民主党代表選に勝利」というニュース速報が入ってきたが、日本人参加者以外は、まったくの無反応だった。日本の首相に誰が就くかという問題は、すでに国際的イシューではなくなっているのである。

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