会見に官房長官も同席しない「暴走政権」菅首相を止めるには、小泉元首相も恐れた党代表解任か、海江田・与謝野大臣の追及か
【Photo】Getty Images

  菅首相の暴走が止まらない。退任条件として2次補正、再生エネルギー特措法、特例公債法をあげている。2次補正は今週末には成立するだろうが、再生エネルギー特措法は7月14日に衆院本会議で審議入りしたばかり、早くても成立は8月中旬だろう。特例公債法はさらに不透明で、8月中に成立させたいのが与党の意向だ。

 もともと内閣不信任案の回避のために出てきたウソをさらに上塗りした退任3条件に振り回されれている民主党執行部も情けない。

 制度上、首相を辞めさせるのは内閣不信任案しかない。もう一度野党から内閣不信任案を出すか、参院で問責決議して慣行によって与党から内閣信任案を出すか。

 民主党内で解散が怖いなら、菅首相を代表から解任することだ。そうすれば、解散しても菅首相自身が民主党の公認を受けられないし、候補者選定もできなくなるから、解散できなくなる。郵政解散の時に、小泉首相がおそれていたのは自民党総裁の解任だった。ところが自民党内で解散はありえないという甘い読みがあり、解任までできなかった。それで、小泉首相は当時無謀といわれていた郵政解散ができた。

 再度の内閣不信任案や民主党代表解任のどちらでも、今の民主党執行部は力不足で菅首相を引きずり下ろせないだろう。

 その足元を見て、菅首相は勢いづく。早くも9月下旬の国連総会への出席に意欲を見せている。

 そして、13日の緊急記者会見で「原発に依存しない社会」を言い出した。6日にストレステストを原発再稼働の条件と突如いいだしたのに続く暴走だ。もともと5月に浜岡原発だけの停止要請を行ったのから数えると、3発目の暴走となる。

 浜岡原発停止、ストレステスト、「脱原発依存」のどれも方向性はいい。問題はその手順だ。個別問題の浜岡原発の停止くらいでとどまっていれば、よかったが、脱原発依存までくると日本のエネルギー政策の根幹になる。方向性だけでなく手順が一層重要になる。それぞれを実施するための手順の複雑さをあえて数字でいえば、浜岡停止が1とした場合、ストレステストは10、脱原発依存は1000くらいのイメージだ。

 もし脱原発依存が政府の方針であれば、ニュースだ。凄いことだと思う。しかし、枝野幸男官房長官は「政府見解でない」といい、岡田克哉幹事長は「首相の個人的な思い」と突き放している。

「脱原発」が本気ならば法案をつくればいい

 そういえば、最近の首相の記者会見に光景に違和感があった。首相の記者会見は政府の方針なので、官房長官、副長官などが同席するのが通例だ。私が官邸にいたときも、首相の記者会見には重みがあるので、政府幹部はみんな列席していた。

 ところが、4月下旬あたりから、事務職員はいるものの、官房長官や副長官が同席しなくなったのだ。はじめはみんな忙しいからかなと思っていたが、どうもこのあたりから官邸は機能不全に陥っていたようだ。ある官邸幹部は同席するなといわれたという。

 首相の権限は大きい。閣内人事を行い、衆議院を解散できる。逆にいえば、人事権と解散権しかないが、この二つを使って自分の思いを達成できる。

 もし菅首相が本当に脱原発依存を実行したいなら、経産相に自分の息のかかった人物をあてて、行えばいい。そうでなくても、担当大臣(内閣府大臣の兼任でも可)を作り、その下に脱原発推進事務局を作って、役人や民間人を30人くらい集めて、その法案を作ればいい。もちろん、そのコンセンサス作りには国民に向かってオープンな議論を行って少なくとも1年はかかる。

 菅首相が思いつきといわれるのは、そうした人事などをまったく行っていないからだ。担当の海江田万里経産相ですら、菅首相の「脱原発依存」の話を聞いたのは会見の40~50分前で、その内容には批判的と、新聞インタビューで明らかにしている。これでは、政府として仕事をするのは難しい。

 どんなに立派な政策であっても、その実現のために現実に話を落とすのが政治であり、実際に法案化しなければ現実の話にはならない。民主党の政治家はそうした政治のイロハを知らない人が多すぎる。いろいろな意見を評論家としていうのは慣れているが、現実に落とし込めないのだ。

 いずれにしても、首相の記者会見が首相個人の思いでは話にならない。官邸の記者会見では多くの公費を支出しているのに、それが個人の話なら、記者懇かオフで行うべきだ。またマスコミは首相の個人的な思いならたいしたニュースでないのだから、これからは菅首相の記者会見の際に、個人的な思いなのか政府方針なのかをしっかり問わなければいけない。

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