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日本が変わるのか!? 輪番休業
導入業界 企業続々 サマータイム 各社の取り組み

 東日本大震災そして福島原発の事故で日本の電力は大ピンチ。夏は乗り切れない、と危惧されていたところに救世主が! 業界全体で休日をシフトする自動車業界だ。思わぬ経済効果など日本を変える可能性さえ感じられる、自動車業界の英断に迫る。

自工会メンバーのメーカー各社
いっせいに木・金曜日に休日をシフト

 まずは業界の輪番休日を確認しよう。自工会会員の自動車メーカーのうち1社を除く13社が、7~9月の3カ月間、所定休日を木・金に変更し、電力消費の少ない土・日に工場を稼働させる。乗用車メーカーはもちろん、トラックメーカーや二輪車メーカーも歩調を合わせての休日シフトだ。事務方に〝結局、土・日に出て残った仕事をすることもあるんでしょう?〟と聞いてみたら、「絶対出て仕事をしてはいけない!! といわれてます」と強制力は強い。

 唯一、参加しないのは二輪車の川崎重工だが、同社は二輪車部門(産業用ロボット含む)の売り上げが、全体の18%にしかすぎない。さらに二輪車を製造する明石工場は、産業用ガスタービンやロボットも生産する複合工場で、木・金に生産ラインを止められない事情がある。不参加やむなしだろう。

 休日を変えるなんて凄いことだが、じつは過去にも事例があった。時は2000年、やはり夏の電力不足が懸念されるため、自動車メーカーが休日を月・火に変更したことがある。その時は、業界全体ではなく一部メーカーの対応で、期間も学校が休みになる7月中旬~8月末までだった。

基本は本社機能も対象 例外は海外&販売部門

被災した日産のいわき工場。すでに復旧し7月からは土・日に稼働する。フル稼働は秋

 さらに自動車メーカー各社の対応を見てみよう。期間は7月1日から9月30日まで。細かいことだが、スタートとなる7月1日は金曜日で、どこもお休み。その前日6月30日の木曜日の扱いに違いがある。

 ホンダは全社休日。それ以外は就業日となるが、日産と富士重は工場を休日にする。またトヨタは、6月30日は工場も稼働するが、7月1日と2日は工場だけ連休となる。そして、最終の9月30日が金曜日なので、全社4連休で輪番休業を終える。ハッピーエンドになっていることを願う。

 各社が悩んだのが、工場は木・金休みでも本社機能など事務部門をどうするか。官公庁との折衝、海外とのビジネス、もちろん国内販売や購買。木・金を休むと、先方が土・日休みで4日間の空白になってしまう。

 結局、各社とも本社を含む全社的に休日をシフトした。支障のある部門を明確に例外としたのが3社。マツダは、海外営業本部と国内営業本部を従来どおり土・日休みとした。スズキは国内営業部門、ダイハツは営業部門と東京支社が例外で土・日休みとなる。

広島のマツダ本社ビルは7 月から木・金曜休み。社員サポート体制が充実しているようだ

 また、自動車以外の部門を抱える富士重工は、汎用エンジンなどを製作する産業機器カンパニーと、航空機を製作する航空宇宙カンパニーは従来どおり土・日休みとなる。

社内の反応は賛否半々 幼児と介護に問題点!

 休日が変わることで社員に戸惑いはなかったのか?

 各社に社員の反応を取材したところ、「状況が状況ですし、7~9月限定の措置ですからしかたない」が大勢だ。

 もちろん、観光地が空いていて宿泊費が安い、ゴルフが安くできる、カルチャーセンターに行きやすい、といった前向きな意見も少なくないという。

 しかし問題は、幼児のいる家庭や介護が必要な人がいるケース。切実な問題だ。

 マツダは、広島本社に設置している社員向け保育施設「わくわくキッズ園」の休日を変更するほか、育児や介護、ボランティア活動のために設定している「ハートフル休暇」を増やして対応する。これは、通常の有給休暇とは別のフレキシブルな休みで、今までの年間10日を倍増の20日にする。

 ダイハツは、基本的に個人対応としながら、土・日に対応できる託児所や介護施設を会社が調べて情報提供する。また日産は、在宅勤務を増やすなどの対策を検討中という。

輸入車各社は静観 土・日休み基本継続

 生産部門を持たない輸入車各社は、当然ながら休日シフトの必要性がない。3カ月間という期限まであり、各社とも静観の構えだ。

 ここで唯一例外なのが、日産と提携しているルノージャポンである。しかも、日産と同じビルに本社を構えるだけに、休日を木・金にシフトする方向で検討中という。

 日本の自動車メーカーでは皆無だったサマータイムだが、さすが欧米資本の輸入車業界。一部で導入していた。ベンツ日本は、5月12日から、通常の9時30分~18時の勤務時間を1時間繰り上げ、8時30分~17時としている。

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