枝野官房長官は菅降ろしを決断するか
首相の期待ほど「脱原発」では支持されていない朝日新聞世論調査の非公開データ

無党派層の内閣支持率は9%
首相早期退陣の鍵を握るのは枝野幸男官房長官である〔PHOTO〕gettyimages

 新聞各紙に「『菅降ろし』袋小路---与野党、決め手なし」(『読売新聞』7月13日付朝刊)などと、菅直人首相の「8月末退陣」が不透明となったと報じる見出しが躍っている。

 同紙の本記のリードは、以下のように書いている。〈 退陣を表明しながら居座り続ける菅首相に対し、早期退陣を求める動きが行き詰っている。<中略>8月末までの今国会会期中に、首相が本当に退陣を認めるかどうか危ぶむ声さえ出始めている 〉

 では、本当に首相早期退陣はないのか。その鍵を握るのは枝野幸男官房長官である。弁護士出身の枝野氏はもともと機関主義者であり、官房長官として首相を支えることは当然の責務であるという考えの持ち主だ。

 93年7月総選挙で日本新党から立候補して初当選を果たした枝野氏は、その後、社会市民連合代表だった菅氏と同じく新党さきがけ(武村正義代表・当時)に合流。98年4月の第一期民主党結成を含め今日まで菅氏と政治行動を共にしてきた。要は、菅氏に世話になっているということだ。大分昔のことだが、筆者は枝野氏を菅氏から紹介された。

脱原発支持者の68%が菅政権は不支持

 官房長官職務に忠実な枝野氏ではあるが、現在の菅首相にはいささか呆れ果てているのではないか。菅氏はすでに、1.11年度第2次補正予算の成立2.再生可能エネルギー促進特別措置法(再生エネ法)の成立3.特例公債法案の3法案成立が果たせれば退陣すると言明している。

 ところがここに来て、退陣時期について「一定のメド」とした3法案の成立だけでなく、東日本大震災の復旧・復興に必要な総額10兆円超の第3次補正予算の編成と成立まで責任を負いたいとの意向を語り始めた。それだけではない。13日夜の記者会見で改めて「脱原発依存」を打ち出し、政権継続を念頭に置いた「脱原発解散」に含みを持たせたのだ。

 仮に菅首相の下で第3次補正予算案まで上げるとなると、9月中旬召集予定の臨時国会いっぱい菅政権が存続するということになる。その後さらに12年度本予算も自ら編成する、編成したのであれば来年1月召集の通常国会会期中の来春に自分の手で成立させる、さらには来年秋の民主党代表任期切れまで首相を続けたいと、その権力欲は次々とエスカレートすることは目に見ている。

 枝野官房長官が菅首相に永年の"借り"があり、首相へのロイヤリティがあるにしても、幾らなんでもそこまで許容するはずがないと思いたい。ましや直近のマスコミ各社の世論調査結果を吟味すれば、常識ある「決断」をするはずだ。

 その決断を述べる前に『朝日新聞』の世論調査(7月9-10日実施)の非公開資料を紹介しておきたい。報道(12日付朝刊)にある通り、内閣支持率は前回比マイナス7ポイントの15%、不支持率が前回比プラス10ポイントの66%だった。

 ところが、これを資料の性別で見ると、男性の支持率18%、不支持率71%、女性の支持率13%、不支持率62%である。男性の不支持率がぐんと跳ね上がっていることと女性の支持率は平均を下回っていることが分かる。見落とせない点は、民主党支持層の支持率が初めて50%を下回り47%になり、無党派層の支持率が10%を割り込んで9%になったことである。

 もうひとつ重要な世論調査結果を紹介したい。それは、「脱原発」の賛否を聞いたうえで菅内閣を支持するか、支持しないかを尋ねた質問の回答である。脱原発に賛成と答えた人の支持率は15%、不支持率が68%で、反対と答えた人の支持率は19%、不支持率が67%である。首相が期待する「脱原発」気分の国民への浸透とは殆んど関係なく、全体の支持率15%、不支持率66%とほぼ同じ結果が出ているのだ。

 これを枝野氏が知れば、首相へのロイヤリティも吹き飛ぶのではないか。そして先の決断とは、前号でも書いたように特例公債法案成立のメドが立つお盆休み前に枝野官房長官、岡田克也幹事長、仙谷由人代表代行の3人が揃い踏みで辞表を突きつけて退陣に追い込むというものだ。果して枝野氏が決断するのかどうか、注目したい。

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