雑誌
東日本大震災で考えた 今後増えそうな予感!!
こうなったらこのクルマ

 未曾有の災害を巻き起こした東日本大震災。地割れや浸水被害、ガソリン不足に加え、東京電力管内では、福島第1原発事故により、計画停電が行なわれた。この災害で見えてきたのは普通の乗用車ではダメだということ。計画停電でEVは充電で肩身が狭い思いをし、ガソリン、ディーゼル車は供給不足の影響をモロに受けた。こうなったら燃料電池車やLPG車だ!

 燃料電池車は航続距離が長く、水素の充填時間も短い。LPG車は燃費がよく、ガソリンに比べ安い。今ではガソリンとLPGを両方使えるバイフューエル車もある。地震で地割れが起きた場合にはハイリフト車が役に立つ。もう、こうなったらこのクルマを買うしかない!?

燃料電池車 自分で発電して走る電気自動車なら文句あるまい

 東日本大震災によってガソリンは簡単に手に入らないと身に染みた人は多いはず。それは電気も同じだ。

 計画停電によって電気のありがたみを感じ、節電が習慣化した今、EVはこれから使いものになるのか疑問に思った人もいるに違いない。

 そこでが注目したのは燃料電池車。航続距離も1充填で600km以上、水素の充填時間は4分ほど。こうなったら燃料電車車しかない!

■燃料電池車のメリット、デメリットについて

 まずは、燃料電池車のメリット、デメリット。燃料電池車は水素を化学反応させて電気を充電してモーターを動かす。メリットとしては、まずエネルギー効率が50%とガソリン車の15~18%に比べると非常に高く、CO2やNOx、二酸化炭素を排出しない究極のエネルギーと言われている。

 デメリットとしてはやはりコストが高いこと。コスト高の要因は水素を使って発電する燃料電池ユニットにプラチナなどの高価な材料が必要なこと。そして燃料電池車に搭載する高圧水素タンク、高圧電装などが高価なことだ。インフラもまだ実験段階で水素ステーションも全国に13カ所しかなく、水素ステーションの建設費も約6億円と高額なこともネックだ。

■一般向け販売はいつ? 価格はいくらくらい?

 経済産業省燃料電池推進室の飯田室長は「価格を'15年にはガソリン車の2、3倍、'20年にはガソリン車の1.2倍まで下げていく計画です。'25年までには補助金なしで自立的に販売できるようにしたいですね。販売規模についても'15年の販売開始当初で年間1000台以上の販売を見込んでいます」

 かなり普及に向けての青写真がはっきりしてきたようだ。

 ホンダは製造過程の自動化や電気専用部品をハイブリッド車と共用化を進めてコスト削減を計り、1000万円を目標に開発を進めている。

 いっぽうトヨタは、燃料電池の製造コストを10万ドル(約830万円)まで引き下げることに成功し、市場投入までに500万円前後になる見通しを内山田副社長が明らかにした。

 具体的に一般向け販売がいつになるのかだが、今年1月13日、トヨタ、日産、ホンダとエネルギー事業社10社は燃料電池車を'15年に量産し一般消費者向けに販売することを目指す、という共同声明を発表した。

 またインフラについても東京、愛知、大阪、福岡の4大都市圏を中心に水素ステーションを約100カ所は配備すると発表。

 現在トヨタFCHV-adv、ホンダFCXクラリティ、日産X-トレイルFCVが官公庁向けにリース販売がを行なわれているほか、ANAが国際線ハイヤーサービスにトヨタFCHV-advを導入。

 実証事業は今年から発足した経産省主導の事業者である水素供給・利用技術研究組合「HYSUT」が行なっている。

■今後の課題/国沢光宏

 燃料電池車の普及に向けての課題は2つある。「スタック」と呼ばれる燃料電池本体のコストダウンと燃料として使う水素の供給&車両への積載。少しばかり専門になるが紹介したい。

 燃料電池の構造を見ると、スタックを構成する1つの『セル』に2枚の『セパレータ』というパーツを使う。1台分400セルだとすれば800枚のセパレータが必要。この7~8年で4000万円が80万円になったのだから驚く。燃料の専門家に聞くとここにきて1枚200円くらいの可能性が出てきたという。

 100 (136馬力)のスタックで100g=約50万円といわれていた白金の使用量の削減や、中間膜などの素材、部品も急速にコストダウンされつつあり、100スタック1つ100万円のメドがついたもよう。パワーユニットとしてはディーゼルエンジンと同等レベルになるということです。

 問題は「水素をクルマに積む手段」である。現在、350~700気圧のタンクを使っているけれど、安全性の確保が大変だ。スクーバダイビング用タンクは200気圧ながら、錆などで底が抜けたりすると〝爆発〟してしまう。700気圧で、事故の可能性あって、しかも可燃性のある水素を充填するとすれば、安全確保に苦労することは想像に難くない。実際、カーボンを使用するなど、驚くほどコストがかかっているそう。

 どこのメーカーに聞いても、スタックは安くなる見通しがついたものの、物理的な強度が要求される高圧水素タンクの製造コストを下げることは難しいという(定期点検にもお金がかかるらしい)。高速バスや定期便トラックのように同じ場所を走るなら液体水素も使えるけれど(短時間に使い切れればOK)、長い時間にわたり水素を溜めておかなければならない乗用車じゃ無理だと思う。だが普及に向け現実味を帯びてきたことは確か。

※  ※  ※  ※

 担当は2年前、ホンダFCXクラリティに試乗し、ガソリン車と変わらない加速フィールに驚いた。その燃料電池車がEVやハイブリッドにとって変わり、主役になる日は意外に早く来るかもしれない。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら