村木厚労省元局長を「犯罪者」に仕立て上げた前特捜部長を直撃

164日も拘束した挙げ句、供述調書のほとんどが証拠不採用
9月10日、大阪地裁の無罪判決を受けて、大阪司法記者クラブでの会見にのぞむ村木氏〔PHOTO〕眞野公一 (以下同)

「(判決を聞いた時は)心臓が1回、非常に大きな鼓動を打ちました。(検察は)これ以上私の時間を奪わないでほしい」

9月10日、郵便不正に絡む厚生労働省の偽証明書発行事件で、虚偽有印公文書作成・同行使の罪に問われた厚生労働省雇用均等・児童家庭局の村木厚子元局長(54=起訴休職中)に対し、大阪地裁の横田信之裁判長は無罪判決を言い渡した。

逮捕から保釈までの拘束日数は164日、判決まで1年3ヵ月――。着手時点から検察が主導し、しかも省庁の官僚をターゲットに据えた刑事事件での完全無罪という判決は、前代未聞と言える。だが、当然の結末であった。公判の中で大阪地検特捜部が描いた"ストーリー"はほとんど採用されなかったのだ。

判決後、会見に臨んだ村木氏は、「裁判の中で、検察が考えていたのとは違う事実が明らかになったと思います。丁寧に捜査をしていただけていたらという思いはあります」と、落ち着いたトーンではあったが、ハッキリと検察を批判した。

村木氏が逮捕・起訴された郵便不正事件で検察が描いたのは、次のようなストーリーだ。

骨子は'04年当時、障害保健福祉部企画課長だった村木氏が、実体がないのに障害者団体を名乗る「凜の会」を郵便割引制度の適用団体と認める偽の証明書を発行するよう部下の上村勉被告(41=同罪で起訴、公判中)に命じたというものだ。

背景に、「凜の会」代表から要請を受けた民主党の石井一参院議員(76)による、村木氏の上司だった塩田幸雄(ゆきお)・元同省障害保健福祉部長(59=現・小豆島町長)への働きかけがあったとされた。

「石井や塩田に捜査の手を伸ばすためには、まず現場に直接指示を出したとされる村木を落とす必要があった。それで、村木を頂点にした事件という構図で捜査に着手したわけです」(在阪司法記者)

しかし、裁判で明らかになったのは、検察によるデッチ上げの連続だった。