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ロシア、UAE、南アフリカに中古車が輸出されている
ロシア、UAE、南アフリカに中古車が輸出されている

 東南アジアやアフリカに旅行をしたことがある人なら、きっと街を走る日本車の数に驚いた経験があるだろう。最近めっきりみかけなくなった日本車や「●●産業」など日本語が書かれた商用車が普通に走っていたりする。そこで、どんな国に中古車が輸出されて、どんな車種が人気なのか調べてみた。

国別中古車事情どんなクルマが人気?

 実に約180カ国以上の国に輸出されているニッポンの中古車。'08年には134万7026台と過去最高を記録したが、'09年はリーマンショックの影響などにより、前年同期比49・8%減の67万5858台となった。

 '09年の日本の新車販売は約460万台だから、実に7分の1の中古車が輸出されているのだ。まさかこんなに多いと思わなかった。どうりで古いクルマをあまり見かけないわけだ。

 欧州ではイギリスが26位にランクイン。他国と違いちょっと事情が違いそう。さて何が輸出されているのか? ひょっとして「編」が昨年売ったランエボか?

●イギリス

 イギリスは10%の関税と付加価値税が17・5%。このほかEUの安全基準や排ガス規制に適合しているか、車両1台ごとの検査、マイル表示への切り替えなど規制が多い。

 主にイギリスに中古車を輸出している業者に聞いてみた。山銀通商さんでは、年式が古く価格の安いエスティマなどのミニバンのほか、日本では価格が手頃になってきたランエボⅢやⅣ、インプレッサSTI、R33GT‐Rの引き合いが多いそう。

 さすがに発展途上国とは違って、イギリスでは日本車のスポーツカーが人気だった。

●アラブ首長国連邦(UAE)

 UAEは、関税5%、左ハンドルのみ、排ガス規制、エンジンが良好であることなどの規制があり、日本からUAEに輸出される中古車の大半はイラク、アフガニスタン、パキスタン、イエメンなどの近隣諸国やアフリカ諸国に再輸出されるという。一見、UAEのドバイというとお金持ちばかりで日本の中古車なんて、欲しい人がいるのかと不思議に思ったが、こういう理由があったわけだ。

 主にUAE、アフリカに輸出しているという錦トレーディングのS・アハメドさんは

「ドバイの景気は今落ち込んでいるのでよくないね。ドバイのフリーポートに行くと、フリーポートにはアフリカ人やアラブ人、イスラム系の人たちで溢れているよ。でもドバイで乗るんじゃなくて、また輸出するんですよ。

 人気なのはカローラやコロナ、ハイエース、ライトエースだね。やっぱりトヨタが人気で売れゆきいいよ。でもほんとのお金持ちは買わないよ」

 あまりに流暢な日本語を話すので驚いたが、聞けばS・アハメドさんは、日本在住約20年のパキスタン人。日本人は、ボロボロになるまでクルマに乗らないので、もったいないと嘆いていた。同感です。

●ロシア

 ロシア政府は国内メーカーを支援するため、日本からの中古車を締め出す政策を昨年1月から今年7月12日まで実施。関税は、製造5年までの乗用車は平均25%から30%に引き上げ、5年超の中古車については約8割と大幅に引き上げた。

 ロシア向けの中古車輸出日本一の富山県の伏木富山港では'09年には前年比9割減と大幅に減少。射水市の日本人の中古車輸出販売業者はこう嘆く。

 「10年以上前から富山県射水市の国道8号線沿いではロシア人やパキスタン人が200人以上いるよ。パキスタン村と呼ばれていてね。でも最近はだいぶ減ったね。ここ数ヵ月は持ち直してきたけど、パキスタン人の資金力、商魂のたくましさにはまっているよ。廃車寸前のものから100万円くらいのものまで、なんでももっていっちゃう。正直かないません」

 富山にパキスタン村ができるほど中古車輸出が盛んだったとは・・・。次いでロシア向け中古車輸出が多い北海道小樽で中古車輸出業を営むMINHAS TRADINGにも聞いてみた。

 「ワタシは15年くらいやってるよ。輸出先はウラジオストックね。街を走っているクルマは約9割以上が日本車。ロシアのクルマは信頼できないから売れません。ロシア人はもう日本車がイチバンってわかってるからね。ワタシの店では170台以上ストックしてます。

小樽のMINHAS TRADINGではカローラアクシオが一番人気だという

 でも、ここ1年ほど価格の高いランクルはもう売れなくなったねえ。関税が高くなったせいもあるけど、金融危機の影響でローンが組めなくなった人が増えたんですよ。ワタシの店では、平成18~19年式、1~1・5ℓのカローラやヴィッツ、デミオなどの小型車は売れてるよ」

 この人も日本に15年以上住んでいるパキスタン人。今年9月から日本車の中古車を締め出す規制が行なわれるとのことで、かなり深刻な様子だった。

●南米チリ

 チリはボリビアやペルーなど南米各諸国への中継点になっていて、排ガス規制、左ハンドルしか輸入できない、4州しか販売できないなど規制がある。'09年12月末にボリビアが中古車輸入を5年以内のクルマに限るとしたため輸出量は激減した。チリの状況について、JPCトレーディングさんは、

「商用車が多いですが、ハイエースやカローラフィールダーを含めて、全般的にトヨタ車が圧倒的に人気ですね。トヨタ車は抜群の知名度があり、信頼性が高く、早く売れます。南米全般で同じことがいえます」

 チリやペルーは日系移民が多いから第2の故郷を思って買う人が多いんでしょうね。

●ニュージーランド

 国内に自動車メーカーがなくその需要を輸入に頼り、約70%が中古車を占めている。そのため排ガス規制や騒音規制、衝突安全基準に対応していないものは輸入することができない。

 中古車輸出業コーラルさんによると、

「ミニバン、1C0Xが人気ですね。エスティマやオデッセイ、ストリームをはじめアレックスやランクスも人気があります。RX‐7も引き合いがあります。全般的にトヨタ車とホンダ車の人気が凄いですね」

 南半球でも日本車の中古車は人気なんですね。

●南アフリカ含むアフリカ諸国

 南アフリカは原則的に中古車の輸入は禁止されており、そのほとんどが第三国に輸出される。

 ケニアは車検と同じ路上使用適格性検査や右ハンドルであること、車両は8年以上経過したクルマなど規制が厳しい。ケニアに次ぐ輸出規模の大きいタンザニアでは実地検査、10年以上経過したクルマに追徴課税されるなどの規制がある。

日本から輸出されたカローラに乗るウガンダのB・Ajerさん。満足そうな笑顔だ

 世界に向けて、外国人向け中古車売買のホームページを展開している中古車輸出業トラストさんは、「南アフリカを経由してタンザニアやケニアなどアフリカ諸国に輸出されています。特に人気なのは頑丈な4WDのRAV4、ランクルプラドなど。カローラやマークⅡなどのセダンも人気があります。ドル立てで一番安いもので1000ドルから。平均的に売れるのは3000~4000ドルあたりのクルマが売れます。」

 アフリカ諸国では、ステイタスがあるので事業に成功した人や投資目的にもなっているようです。日本ではあんまりステイタスはありませんけど・・・。

●モンゴル

 輸入に関する規制はなく、特に安全に走行できるクルマであれば問題ない。関税は5%、付加価値税10%のほか、排気量や年式によって500ドルから4000ドルの特別税が加算される。主にモンゴルへ中古車輸出を手がける立花トレーディングさんは、

モンゴルの大地を縦横に走れて幸せそうなランクル80。大事にされていたゾ!

「この夏から関税が引き下げられたので今後さらに伸びると思います。人気は圧倒的にランクル100です。モンゴルは古い年式でも特別税が安いので古ければ古いほどいいですね。20万km以上のものは珍しくありません。おもしろいのは、最近10万km以上走っている20万円くらいの初期型プリウスの引き合いが多いことですね」

※大自然のなか、性能をフルに発揮してモンゴルを疾走するランクルたち。アーバンクロカンに徹する日本より幸せです。((編)より)

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 国によって年式規制や輸入規制、関税など異なるが、どこの国でも車検制度があり、品質の高い日本車の中古車は人気が高いようだ。

 日本では10万kmの中古車は値段がガクンと下がり、売れなくなってしまう。そうした中古車が日本であまり見かけないのは海外に輸出されていたからなのだった。

 自分の元愛車が、海外で大切にされていることは嬉しいじゃありませんか。海外旅行に行った時、再会できるかもよ。

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