為替介入の効果は一時的!21日のFOMCと23日の日米首脳会談に要注意せよ
「非不胎化」すら理解していない新聞を読んでもわからない円高の本質

 民主党代表選のために政府・日銀が無策の間に、円高が急速に進んだ。9月15日、ようやく政府が為替介入し、円高は小休止になった。

  しかし、6日の本コラムで示したように、円はほとんどの通貨に対して高くなっている。その原因の8~9割は他国に比べて日銀による通貨供給の相対的な不足である。

 そのため、政府による為替介入は、為替市場の需給関係を直して一時的な円高ストップになるが、日銀による通貨供給が他国の中央銀行に比べて増加しないと、再び円高になるだろう。

 そのタイミングがいつかを予想することは難しいが、何かのイベントを契機に顕在化する可能性は高い。その意味で、今週、注目すべきなのは、21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)と23日の日米首脳会談だ。

 21日は、11月2日投票の米中間選挙前では最後のFOMCである。政策変更は今のところないともいわれているが、もしバーナンキFRB(連邦準備理事会)議長が米経済の先行きに懸念を示したり、少しでも金融緩和の方向へのサインを示すと、再び円高になるというシナリオもありえる。

基本的なことを間違えている新聞報道

 23日の日米首脳会談は、菅改造内閣のスタートであり、普天間だけに問題が集中せず広い範囲の話になるだろう。となると、円高問題も出てくる可能性がある。

 米国は為替介入に敏感な国だ。米政府は冷静に対処しているが、米議会は日本の為替介入に不満を持っている。中国に対しても批判的である以上、日本にも同じスタンスになる。さらに中間選挙で共和党優勢になると予想されているので、オバマ政権としても議会の感情をある程度は菅政権に伝えるかもしれない。となると、日本政府による為替介入には制約ができることも考えられる。その場合、やはり円高基調にもどる可能性がある。

 そんな目を離せない状況の中、15日の為替介入が6年半ぶりだったこともあり、先週は各新聞にいろいろな解説記事がでた。ところが、どれも基本的なところで誤りがある。たとえば「非不胎化」という言葉も再三、紙上に出てきたが、どの記事も消化不良だった。

 そもそも「非不胎化」という日本語は、「非」と「不」の二重否定が「胎化」に被さっており、こなれていない。もともと「不胎化」は、sterilizeの経済学での訳語だ。sterilizeとは、無力化するとか無効化するという意味である。「非不胎化」は、その否定でunsterilizeの訳だ。

 これらの英語で議論されていたころは、固定相場制が当たり前であり、いずこの政府も中央銀行の資金を使って、為替介入をしていた。

 具体的には、自国通貨を発行して外貨債を購入したり、自国通貨を回収して外貨債を売却したりしていた。例えば外貨買い介入のために自国通貨を出せば、自国資金需給は緩み、金利が低くなり最終的にはインフレが進む。この意味で、その当時為替介入は金融政策と完全にリンクしていた。

 その場合、為替介入しても、自国の資金需給が変化しないようにするためには、中央銀行が「無効化する」ことが必要だった。それをsterilizeといったわけだ。中央銀行が何もしなければ、資金需給が変化するが、それをunsterilizeといった。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら