会計のプロが指摘!日本航空の「更正計画案」に重大欠陥あり
このままでは赤字垂れ流しで国民負担は増大する

 日本航空が8月31日に東京地方裁判所に提出した更生計画案を見てわが目を疑った。

 1兆円の債務超過で倒産した日本航空が、更生初年度にはいきなり641億円の営業黒字に転換し、更生2年目以降も757億円、1175億円、1130億円、1131億円の営業利益と、見違えるばかりの高収益会社に変貌することになっているではないか。

 日本航空の再生計画は金融機関による87.5%の債権放棄より成り立っているが、その債権放棄総額は下記のとおり5216億円である。一方、更生5事業年度の営業利益総額は5034億円にもなる。5000億円も利益を出せる会社に5000億円の債権放棄を行う間抜けがどこにいるというのか?

 この更生計画案が本当に実現可能なものであれば、そもそも法的手続きによらなければ難しかった債権放棄など要らない。ということは、日本航空に会社更生法の申請など必要なかったことになる。

 だから、一連の倒産騒ぎにより日本航空の事情に十分通じた金融機関は、この更生計画案が実現不可能なことをしっかりと知っている。知らぬは更生計画の破綻(二次破綻)により巨額の公的負担を押し付けられる国民だけであろう。この事はまことに許し難く、今回、日本航空の再生計画案の欺瞞性を解析する。

瀬戸企業再生支援機構委員長への疑問

  更生計画案提出直後に行われた記者会見で、収益計画が劇的な改善になっていることの要因を質問された企業再生支援機構の瀬戸委員長は、

 「初年度からこんな利益が出るのは見通しが甘いんじゃないかとの評価は当然あるが、現時点ではその計画を上回る収益が実現されている。われわれはそのことで、今後とも同じような、計画以上の実現ができると申し上げるつもりはないが、当初、計画案の数値の問題については、さまざまな要因を検討した結果、積み上げた。特に、足元で非常に社員一丸となって成し遂げることができた、そういう非常に複合的な要因によるものだ。どれか1つと申し上げる事はできない。」

と答えている。

 瀬戸委員長は、赤字まみれの日本航空といえども、一旦会社更生法で心を入れ替えて「社員一丸」となれば、いきなり641億円の営業利益へと奇跡的V字回復を遂げられると言うのである。

 ところで、1月の会社更生法申請時点では、日本航空の債務超過額は8676億円とされていた。ところが今回裁判所に提出された更生計画案によれば、ほぼ同時期の平成22年3月末時点の債務超過額は9592億円となっており、債務超過額は916億円も拡大している。

 破綻前の平成21年10月にJAL再生タスクフォースが行ったデューデリジェンスでは、7569億円の実質債務超過とされていたので、こちらを基準とすれば、債務超過の増加額は2023億円とさらに大きくなる。

 この点につき、瀬戸委員長は、本年6月30日の定例記者会見において、
「1月19日時点での事業再生計画に比して債務超過額が約1000億円増加しております。これはリスク耐性の高い収益構造を構築するため、より踏み込んだ路線・路便の見直しや資産査定の再評価等によるものです。」と説明している。

 こんなことを本気でいっているのか?

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