伊藤博敏「ニュースの深層」
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「焼肉酒家えびす食中毒事件」マスコミを利用してベンチャー社長と「レバ刺し」を葬り、
責任を逃れた厚生労働省

「生レバー文化」は絶滅する

2011年07月14日(木) 伊藤 博敏
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 集団食中毒で4人の死者を出した「焼肉酒家えびす」の運営会社であるフーズ・フォーラス(本社・石川県金沢市)は、7月11日、金沢市内で債権者説明会を開いた。

 既に同社は、7月8日に会社を解散、任意整理での清算手続きに入っており、精算人は「負債総額は11億円超で既に7億円の債務超過。被害者補償は5億円をくだらない」と、明かした。

 まともなら資金不足で、亡くなった4人を含む200名近い被害者への補償金は支払えない。そこで同社の勘坂康弘元社長は、説明会の冒頭、集まった70社以上の債権者に謝罪するとともに、「被害者への支払いを優先したい。ついては、債権放棄にご賛同いただきたい」と、訴えた。

 事件化以降、一度は会社を再建しての被害者補償を考えていた勘坂氏だが、自治体などの理解を得られず、銀行の支援も得られないことからそれを断念。6月以降は、20店舗の売却に動くなど、会社清算に向けた作業を進めていた。

パフォーマンスが過ぎると批判された社長の素顔

 その過程で、私は勘坂氏と何度か面談する機会を得たのだが、氏が強調していたのは、やはり被害者補償だった。

「石川県と神奈川県にある20店舗のすべてを営業譲渡、その譲渡代金に限度額1億円の営業損害保険金、それに銀行の理解をいただいたうえで、会社と個人名義の約2億円の定期預金を補償にあてたい」

 勘坂氏といえば、事件化直後の5月2日、「生食用の肉というのは日本に流通しておらず、加熱用の肉を殺菌の上、店の責任で調理するのが慣例になっている。それを踏まえ、法律で禁止すればいい。すべきです。禁止していただきたい」と、切り口上で述べたことから「逆ギレ会見」と揶揄され、4人目の死亡者が出たことをマスコミから聞かされて土下座、「パフォーマンスが過ぎる」と批判されたことがある。

 以来、極度にマスコミを恐れるようになっていたが、素顔の勘坂氏は、「慎重で気配りの人」で、計算ずくで何かを仕掛ける印象ではなかった。

 むろん、4月末の事件発生からわずか数日で4人の死者を出し、会社は倒産、7月8日、設立から14年で築いた20店舗の焼肉チェーンを解散、いいたいことは山ほどあっただろうが、反響を恐れ、感情に任せて、不満を口にすることはなかった。

 ただ、病原菌の腸管出血性大腸菌O-111が付着したのが自店ではなかったこと、「デフレ時代を勝ち抜く若手経営者」と持ち上げていたマスコミが、手のひらを返して「カネもうけ主義に陥ったチェーン店主」と批判するようになったこと、指導通達をほとんどしていなかった厚労省が、突如、「表示既定」や「衛生基準」に言及しはじめたことなど、すべての責任を押し付けられたように感じ、そのことへの不満はあったはずだ。

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