「卒業アルバム化」するmixi初期ユーザーのソーシャルグラフ
「ソーシャルグラフプロバイダー」mixiの課題

 2010年9月10日、国内最大級のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「mixi」が日本のウェブに大きなインパクトを与える新機能の発表を行いました。

 発表を一言で表現すると「mixiのオープン化」と言えるでしょう。すなわち、これまでmixiの内部でしか利用することができなかった数多くの機能が、外部サイトでも利用できるように改良されたのです。Amazon、楽天など既に多くのサイトでmixiの新機能が実装されているので、お気づきの方もいるかも知れません。

  mixiは今回の発表の中で、「ソーシャルグラフプロバイダー」という言葉を用いて今後の事業展開を語りました。

 「ソーシャルグラフ」とは、SNS上でユーザーが築き上げた「人間関係」のことを指します。mixiは自社の競争力の源を、mixiにおけるユーザー同士の人間関係(ソーシャルグラフ)そのものであるとしました。

 「ソーシャルグラフプロバイダー」であるmixiは、これまでmixi内部でしか利用できなかったmixi上のソーシャルグラフを、外部の事業者が利用できるように変更しました。

 これによって、例えば電機メーカーが「mixi上の友人が今何を見ているか分かるテレビ」や「mixi上の友人に直接電話を掛けることができる携帯電話」などを開発できるようになります。今回のオープン化を契機に、mixi上で構築した人間関係が様々なサービスやデバイスに浸透していくことが予想されます。

 ソーシャルグラフのオープン化は、実は一足早く(2010/4/21)世界最大のSNS「Facebook」が実施しており、今では100万を超えるサイトがFacebookのソーシャルグラフを活用しています。同様に、今後mixiのソーシャルグラフが国内のサイトやサービスに浸透していくことが予想されます。

 更新性の低さが「卒業アルバム化」を招く

 mixiが自社のコアコンピタンスに位置づける「ソーシャルグラフ」ですが、初期のユーザーのソーシャルグラフが劣化している点が課題だと私は考えています。

 例えば、私は2005年からmixiを利用している私のソーシャルグラフは、学生時代(中学・高校・大学)の先輩、後輩、同級生で構成されています。当時は仲の良かった友人たちも、ライフステージの変化とともに少し疎遠になってしまいました。私の場合、mixi上の人間関係は、ちょうど卒業アルバムを見て懐かしむような関係性に変化しています。

 現時点でのmixiは、ソーシャルグラフの更新性が低く設計されています。新しく友人申請をするのも、疎遠になった友人の登録を解除するのも、ユーザーの間では頻繁には行われていません。競合であるFacebookでは活発に友人申請/解除が行われているのとは対照的です。

 このことは数字にも良く現れており、mixiの平均友人数は約27人であるのに対して、競合のFacebookの平均友人数は約130人となっています。mixiのソーシャルグラフはそれだけ「濃い」とも考えられますが、更新性が低いことは否めません。

 友人の申請/解除が不活発だと、ライフステージの変化とともにオンライン上の人間関係は古くなっていきます。

 ユーザーのソーシャルグラフが「卒業アルバム化」した時、mixiは「1ヶ月に一度チェックすれば良いサービス」になってしまう可能性があると私は考えています。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら