瀬戸内寂聴vs塩野七生「人生を語ろう、愛を語ろう!」 「現代ビジネス」創刊記念対談〔前編〕

2010年01月18日(月) 現代ビジネス

現代ビジネス賢者の知恵

upperline

瀬戸内 岡本太郎がわたしに教えてくれたなかでいちばんいい言葉があるのね。それは人生の岐路に立ったとき、普通の人なら楽なほうを選びなさい。でも自分が芸術家になりたいなら危険なほうを選びなさいって。

塩野 危険ね。背水の陣ってことですか。

瀬戸内 あえて危険な道を選べって。それでわたし、それをわりあい守っているの。そうするとうまくいくんですよ。

塩野 寂聴先生の偉いところは公職について適度なお金をもらったりしないことですね。そういう人はいっぱいいますでしょう。

瀬戸内 ダメなの。ひとつのところにいるとそこの精気を全部吸い取ってしまうような気がするんです。わたし、年齢と同じくらい引っ越しているんです。男はそんなに替えられないから仕方ないですけど、でもそうしなきゃ前に進めない。

塩野 そう。男はあんまり替えられないから、わたしは作品の中の男を替えるわけです。それだったらわたしの心次第。

瀬戸内 でも結婚なさって息子さんもいるんでしょう。わたしは娘を四つのときから育ててないんです。ほかに何も後悔することはないんですが、これだけが悔いです。そういうといま六十いくつになった娘が怒るんですね。「みっともない、あんなこといって。いわないでちょうだい」って娘に叱られるんですけど、でも本当にそう思っているんです。

塩野 そうですか。それはーー。

瀬戸内 だって孫がもう30いくつになっているんですからね。でもね。一人子供を産んどいてよかったと思います。

塩野 いやーあ、絶対子供はいたほうがいいですね。

瀬戸内 絶対いたほうがいい。

塩野 結婚しないと、男に対する夢が残りすぎますね。

瀬戸内 そうそう。

塩野 子供を育てる喜びというのは、毎日毎日変わっていく動物を見ているような感じかな。言葉が通じるから猫とはちょっと違うのね。そう、わたしは子供を産んでおいてよかったと思います。ただ残念なのは3人か4人産んどきゃよかった。一人息子じゃスペアがきかない(笑)。

瀬戸内 でも孫ができますよ。あなたの息子さんは知的な方なんでしょうね、きっと。

previous page
5
nextpage


最新号>のご紹介

underline
アクセスランキング
昨日のランキング
直近1時間のランキング
編集部お薦め記事
最新記事