菅直人首相が貫く「小沢外し人事」幹事長は岡田外相か、仙谷官房長官か
官房長官には「サプライズ人事」の可能性も

 菅直人首相は14日の民主党代表選挙で圧倒的大差をつけて小沢一郎前幹事長を破り、代表再選を果たした。今回の代表選挙の最大の特色は、党員・サポーター票での大差が示したように国民世論と党内世論に乖離がなかったということである。

 だが、敗れた小沢陣営は、党員・サポーターの得票数が菅氏約13万票、小沢氏約9万票であり、「総取り制」によるポイント数の菅氏249、小沢氏51という大差ほどではなかったと主張する。しかし、そもそも、衆院300小選挙区ごとに1票でも多く得票した候補者が1ポイントを得る「総取り制」は、小沢氏の得意とする党首選挙の仕組みであったはずだ。

 1978年の自民党総裁選挙は有名な「40日抗争」を経て、現職首相の福田赳夫総裁と大平正芳幹事長が争った。当時のメディアは予備選挙当日まで「福田優勢」と報じていた。しかし、その結果は、福田氏をして「天にもへんな声がある」と言わせたように、予想外の「大平圧勝」に終わった。

 その勝因は、大平氏支持の田中角栄元首相が「秘書軍団」を全国に派遣、当時3回生の小沢氏を含む田中派の中堅・若手を各選挙区に張り付け、自らは例えば石川県鯖江市の農協・魚協長に電話して大平氏に1票を投じるよう説得したのだ。こうした史実に、小沢氏は通暁していたはずである。

 だからこそ、今年の5月に登録が締め切られた党員・サポーター票について、小沢氏は「いつの日か」のために傘下のグループ国会議員・地方議員と影響力を行使できる組織・団体の総力を挙げて囲い込みを行っていただろう。

 ところが、蓋をあけてみると、小沢の側近を自任する奥村展三総務委員長、三井辨雄国対委員長代理、樋高剛衆院議員らの地元選挙区で菅氏に敗れたのだ。死にものぐるいの小沢氏が期待した票の上積みに失敗したということである。選挙に強いという「小沢神話」の終焉と言っていい。

 やはり01年4月の自民党総裁選で小泉純一郎元首相が圧倒的優勢とされた橋本龍太郎元首相を国民世論の爆発的な支持によって破ったことに象徴されるように、田中角栄直伝の旧経世会(竹下派)的な政治手法、すなわち「数は力なり」が世論の前に立ち行き行かなくなったということではないか。

 確かに、小沢氏は国会議員票で200人の支持を得て、「小沢氏、敗れてなお」(『朝日新聞』15日付朝刊の見出し)一定の影響力を残したと言える。

 だが、今回の代表選大敗で「小沢陣営はガタガタになった」(小沢選対の3回生衆院議員)のは事実である。「11年度予算の成立を目指す来年春には菅政権は必ず行き詰り、その時こそ自民党や公明党との連立工作が唯一できる小沢氏の出番がやってくる」との小沢氏側近の主張は、選挙における「小沢神話」同様にはかない期待に終わる可能性が強い。

小沢氏側にケンカを売る人事

 それは、再選された菅首相が17日までに行なう党役員人事と内閣改造が、基本路線ではこれまでと同じように「脱小沢」で貫徹されるからだ。最大の焦点は、幹事長人事である。

 枝野幸男幹事長は恐らく、参院選敗北の責任をとって幹事長代理に降格されよう。後任に有力視されているのは「ミスター・クリーン」こと岡田克也外相。岡田外相の後任に前原誠司国交相が横スベリし、その後任に馬渕澄夫副大臣が昇格する。

 が、ここに来て仰天人事の可能性を耳にした。岡田氏が外相続投に強く拘っているため、留任間違いないと見られている仙谷由人官房長官が幹事長に回り、蓮舫行政刷新相が官房長官に就任するというサプライズ案である。

 岡田、仙谷氏のいずれが幹事長であれ、この人事は「挙党体制」どころか小沢氏側にケンカを売ることになる。来月末までに検察審査会が「起訴相当」を議決・強制起訴処分になれば、新執行部は小沢氏に離党勧告を行うことも考えられる。

 加えて、政党間協議の責任者である幹事長に仙谷氏が就けば、同氏と枝野氏主導で自民党の谷垣禎一執行部と直接詰めることになる。ここでも小沢氏の出番はない。

 人事で小沢氏との関連で言えば、プロ筋は証人喚問問題との兼ね合いから国対委員長と衆院議運委員長人事に関心を寄せている。

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