コンピュータで徹底分析 日本人は楽観しすぎている!「福島第一の再爆発に備えよ」全米で最も著名な理論物理学者ミチオ・カク教授が明かす

2011年07月15日(金) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 また、われわれの計算では、放射性物質の放出量は公式発表よりずっと多かった。すると4月の段階で放射線放出量を37万テラベクレルと推計していた日本政府は、6月になって2倍以上の77万テラベクレルに上方修正した。

 幾度となく日本政府は安心させるようなことを言ってきましたが、コンピュータプログラムでチェックすると、彼らの言動は信用できないとわかるのです。

---それでも、ギリギリのところで福島第一の状況悪化が踏みとどまったのは、何が理由だと思いますか。

カク 炉心溶融するほどの大事故を食い止めたのは、奇跡としか思えません。現場の吉田(昌郎)というリーダーが海水注入を続けたおかげです。中央からの命令に背いて海水バルブを開き続け、原子炉を冷やした。彼こそ英雄です。窮地を救った。当時のあらゆる楽観的な見通しは、「原子炉を廃炉にせず、過去の投資を無駄にしたくない」という考えに発したもので、確かに海水を注入すれば炉は二度と使えなくなる。しかし、海水注入こそが唯一の正しい答えで、あとの選択肢はすべて間違いだったのです。

 事実、われわれのコンピュータプログラムの事故再現によれば、炉心の損傷は激甚で、さらに圧力容器に穴が開いていることも警告していた。それでもなお、日本政府が延々と言い続けたのは、「格納容器は破損していない」「スリーマイル島事故のような事態にはならない」ということでした。それが現在は格納容器の損傷を認めている。この事態は重大です。水位が下がれば容器の底にある溶けたウラニウムが再び暴走し始め、大事故につながりかねない。ですからわれわれは日本政府を信用できないのです。

---日本政府が「夢の原子炉」として実現を目指している高速増殖炉については、どう考えていますか。

カク 高速増殖炉は、燃やした以上に燃料(プルトニウム)を生み出すという、まるで手に触れた物すべてを黄金に変えるギリシャ神話の「ミダス王」のような代物です。

 しかし、そもそもプルトニウムは非常に毒性が強い化学物質で、兵器への転用が可能です。ハイジャッカーやテロリストが手に入れたプルトニウムから核兵器を作りだすかもしれない。そんな危険なプルトニウムを生み出す高速増殖炉を、アメリカ人はミダス王とは言わずに、「ファウストの契約」と呼んでいることを知っていますか。

 ファウストは悪魔に魂を売って全能を手に入れた、ゲーテの作品の主人公です。つまり日本人は、無限にプルトニウムを生み出すことのできる高速増殖炉を手に入れるために、命を代価として差し出したのです。

 今回、福島第一の敷地内からはプルトニウムが検出されましたが、日本列島に住む人々はプルトニウムにそれほどの価値があるのか、あらためて議論すべきではないでしょうか。

 福島第一がこれほど甚大な被害をもたらしたうえ、巨大余震の可能性から免れることもできないとすれば、日本人は原発からの段階的な撤退を真剣に考えたほうがいいと思います。とりわけ東海地震の予想震源域に建つ浜岡原発は、一刻も早く運転を永久停止するべきでしょう。

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