井上久男「ニュースの深層」
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お客の利便よりも社内のルールが大事?!マニュアル漬けの「コンプラ地獄」が
日本を滅ぼす

首相も社長も、リーダーが劣化したのはなぜか

2011年07月15日(金) 井上 久男
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経済産業省を訪問し、報道陣に対応する九州電力真部利応社長〔PHOTO〕gettyimages

 日本では、人の上に立つべきリーダー層の劣化が著しい。卑しい人すらいる。辞めると言いながら居座る菅直人首相がその代表格だ。九州電力の玄海原発を巡る「やらせメール」問題でも九電前副社長ら幹部がそれを黙認していたというから、我田引水のために身内を使って世論を歪める行為も卑しいと言えよう。

 経済産業省の現役キャリアの幹部が最近、自分の担当案件である半導体メーカーの再生に絡んで株式のインサイダー取引疑惑で強制捜査を受けたが、これも「役得」を利用したと見られても仕方なく、卑しい行為だ。

 九電の問題については、原子力発電の運転再開の可否が国民の大きな関心事となっている時期だけに悪質極まりない。こんなことをして、明るみに出れば、信頼を失うことが分かっていなかったとすれば、九電の幹部は相当に「大馬鹿」だ。あるいは、いつも同様のことをやっているから感覚が麻痺していたのだろうか。

 九電はこんな馬鹿げたことをするくせに、筆者の知人によると、取引先が5000円分くらいのビールをお中元に送ると、必ず幹部がそのビールを持って「ルール上、受け取れないので、すみません」と言ってわざわざ返品に来るという。たぶん、取引先から贈り物を受け取ることは社内規定などで明文化され、禁止されているのだろう。「やらせメール」を送っていていけないとはいくら何でも明文化されていないだろうから、送ったのだろうか? そうだとすれば、本当に付ける薬がない。

 

 日本の企業や組織はここ何年か「コンプライアンス強化」という美名の下、マニュアル類を整備してきたが、大きな不祥事は相次ぐ。単純に言えば、マニュアル類を整えただけで、欲や地位に目がくらんでやっていいことと悪いことの本質的な区分けを自分の頭でできない人が増えたからであろう。インサイダー取引なんてどんな理由があろうと絶対にやってはいけないことだが、それを法律作成にも関わるキャリア官僚がやること自体、ブラックジョークだ。

 また、「コンプライアンス強化」が、判断力を養うことの大きな妨げになっていることや、形だけ整えて実戦では役立たないマニュアル類を増やしたという嘆きを筆者はよく聞く。妨げならまだしも、思考停止状態になっているケースすらある。

 ある大手メーカーでは、課長が職場の人間関係に悩んでいた女性部下の相談に乗るために、「アフター5」に個別に話を聞こうとしたら、そのことを知った部長が「それはうちのコンプラ上はセクハラになる可能性がある」と言って中止させたという。

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