補助金終了まであと一ヵ月!! 補助金終了後の日本はどうなる?
補助金を打ち切った各国の状況は?

 エコカー補助金が9月末の期限を前に予算枠を使い切る可能性が出てきた。というよりも可能性がかなり高い。駆け込み需要を見込んで、ディーラーがお盆休み返上で営業していたところもあり、この17日時点のデータでは、予算の残額は約880億円。

 土日祝日を除いて申請が可能な日は残り30日、今後平均で27億3000万円以上の申請が続くと期限の9月30日までもたない計算になるのだ。

 お盆前のディーラー最後の通常営業日の8月11日に約31億円申請(上表)があったことを考えても、早期終了は確定的!?

 そこで気になるのは補助金終了後の日本の新車販売動向だ。2010年上期の新車販売は前年比32%増と大幅に増加したが、エコカー補助金と減税対象車が総市場にしめる比率は4~6月でなんと73.7%、ユーザーの購入意欲をそそるふたつの政策のうちひとつがなくなるのだから、販売減は必至だ。

予測 補助金を打ち切った直後販売台数は半減する!?

 エコカー補助金は、'08年秋のリーマンショック後の急激な景気の落ち込みを受け、麻生政権(当時)が昨年6月から始めた経済対策。基幹産業である自動車産業の落ち込みは、日本の景気全体に左右することを見込み、需要喚起策としてエコカー補助金が盛り込まれた。

 エコカー補助金は、排ガス基準、燃費基準(車重によって段階的基準)を満たしたクルマを購入した場合、最大25万円が支給される。

 13年以上落ちのクルマを廃車にすれば25万円(軽自動車は半額の12万5000円)、廃車にするクルマがない場合で10万円(同5万円)と、日本のクルマ史で最大の補助金制度がスタートしたのだ。

 今年3月末に麻生政権が定めていた期限は切れたが、鳩山政権(当時)が9月末まで延長したわけだが、7月30日の閣議後会見で直嶋正行経産相が、

「経済動向を見ながら検討してきたが、(補助金は)予定どおり終了する」

 と、コメント。自動車メーカーをはじめとする自動車関連企業、ユーザーともエコカー補助金の延長を要求していたが、終了することになった。

「1年半に及ぶ期間での補助金交付の予算額は5800億円を超え、財政難が問題視されている状況下でこれ以上税金を投入することはできない」(関係者)というのが実情なのだ。

 エコカー補助金が終了すれば、日本の新車販売に及ぼす影響は大きく、大幅な販売減を予想する専門家は多い。

 それがどの程度になるのかは、実際に終了してみなければわからないが、諸外国ではどうなのか?

●フランス 減額して継続中

 '07年にC02排出量の少ないクルマに1000ユーロの補助金を出すことで始まったが、'08年12月に10年以上使用したクルマを廃車にすることで1000ユーロを補助。これが日本をはじめ各国のスクラップインセンティブに大きな影響を与えた。現在も減額して継続中。

●アメリカ 終了

 '09年7月にCARS(カー・アローワンス・リベート・システム)を導入開始。

 1台あたり4500ドルと高額な補助金が支給されたが、10億ドルの予算はわずか1週間で枯渇し、延長されたが導入後約1ヵ月で終了。

●ドイツ 終了

 '09年1月に9年以上使用したクルマを廃車にして新車を購入する場合、2500ユーロの補助金を交付し、ドイツの新車マーケットを活性化。昨年9月に予定より早期終了。

 各国景気対策のために、スクラップインセンティブを導入してきたわけだが、昨年で補助金制度が終了したドイツの例と比較。伊藤忠商事株式会社調査情報部の出した資料(エコノミックモニター)及び主任研究員の丸山義正氏のコメントを交えながら検証していく。

 ドイツの乗用車登録台数は新車購入支援制度により、'08年の309万台から'09年は381万台に増加。新車購入支援制度は9月2日で打ち切られたが、納車(登録)は12月末までに行なえばいいため、登録台数は支援制度終了後の10月以降も高水準が続いた。

エコカー購入補助金によりコルトのように販売を大幅にアップさせたクルマも出現!

 しかし、今年1~3月期は新車販売が激減し、大きなダメージを受けている。制度実施中の'09年7~9月期と今年1~3月期を比較すると、26.6%のマイナスとなっている。これは年率換算では71.0%もの大幅な落ち込みとなっている。

 そして注目すべきは、ドイツの乗用車登録台数が、今年の4~6月期も持ち直す気配を見せていない点で、補助金制度終了による深刻な影響がうかがい知れる(以下は主任研究員・丸山氏の見解)。

★★★

 日本とドイツはクルマを取り巻く環境も違うし、制度自体が違うので、単純に比較することはできないが、日本のエコカー補助金申請対象期間が'09年4月10日から今年9月30日とドイツよりも長いことを踏まえると、反動減はドイツに匹敵するものになる可能性がある。

 弊社では、エコカー補助金終了後の今年10~12月期はドイツと同程度の落ち込みとなり、4~6月期実績は年率に換算して512万台だが、年率382万台レベルまで減少すると想定。

 日本でのエコカー購入補助金は、金融危機に際しクルマの需要を喚起する意味で導入された。いってみれば、各自動車メーカーのだぶついていた在庫がはければいい、というものだったので、当初の目的は充分に果たしたといえる。

 実際に自動車メーカー各社は予想を上回る業績の回復ぶりを見せているが、エコカー補助金の影響は大きい。

 日本の場合一番危険視されているのは、"需要の先食い"となっている点。だから新車販売の落ち込みというかたちでその反動が大きくなると見ている。

 エコカー補助金を延長してほしいという声は大きかったが、結局終了することになった。続けるためには新たな目的を設定することが必要になるが、エコカーの普及を目的とするなら、補助金ではなく、現在も展開しているエコカー減税だと思う。

 そういう意味では、今年3月末終了だったものを9月末まで延長したが、延長せず終わるべきだったと考えている。

安いクルマだけでなく、高額の輸入車などもエコカー補助金の恩恵を多大に受けた

 この手の補助金などは永遠に出し続けることは不可能で、終わる時には反動減は避けることができない。しかし、延長するにしても補助金の交付額をフランスが終了前に減額したように手を打っていれば、急激な反動を避け、ソフトランディングできたハズ。

 マーケットの成長力を見れば、先進国での成長力は小さい。日本の場合、リーマンショック以前の新車マーケットを見ても年々減少していた。右肩上がりでクルマの需要が伸びている新興国と違い、補助金終了後の大幅な落ち込みは覚悟しておく必要がある。

 どちらにしても、政策期間が長期に及んだことにより、需要変動を必要以上に歪めた可能性は充分にある。

 これでどの程度落ち込み期間が続くかは、即答できないが、ドイツが補助金終了後半年経過しても好転の兆しを見せていないこともあり、長期化することも充分に考えられる。徐々に需要が回復し、'06~'08年のマーケット傾向からも、400万台半ばに向けて推移すると思われる。

 多少時間はかかるかもしれないが、新興国での需要喚起(中国は若干落ち着いた感じになっている)は必須になる。

★★★

 というように、予想はしていたが状況はかなり深刻。

 自販連では毎年3月と12月に国内の需要見通しを発表していて、今年については、補助金終了後の落ち込みを考慮して、登録車は前年比93.0%の269万8000台、軽四輪は125万6000台(同97.7%)の合計395万4000台としているので、丸山氏の予測はそれよりも厳しいものになっているが、それだけ反動が大きいということの証明で、予断を許さない状況にあるのは間違いない。

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