町田徹「ニュースの深層」
カテゴリーアイコン

たばこの次に財務省が目論む「第3のビール」増税

また「庶民の酒」を狙い撃ち?

2010年09月14日(火) 町田 徹
upperline

 気掛かりな情報が私のアンテナに引っかかってきた。財政再建が大きな課題となる中で、10月から増税されるたばこに続いて、今度は酒類が来年度の増税の標的になる可能性が高いというのだ。すでに財務省の内部ではひそかに議論が始まっているという。

 早速、裏取りのための取材を行うと、財務省幹部のひとりが電話であっさりとこう認めたのである。

「もちろん、その問題意識はあります。今年末に行う税制改正論議の際には、避けて通れない議論でしょう」。

 さらに驚いたのは、酒類の増税の中で最も狙い撃ちにあい易いのが、低価格を武器に庶民の高い支持を獲得して急成長を続けている、あの「金麦」や「クリアアサヒ」といった「第3のビール」(「新ジャンル」とも呼ぶ)らしい。要するに、おかみは「庶民の酒」を標的にしているというのだ。

 聞き捨てにできない愛飲家は、多いのではないだろうか。

 テレビのコマーシャルでグッさんこと山口智充さんが営業課長に扮するキリンの「のどごし< 生 >」。宝塚歌劇団出身の檀れいさんが新妻に扮するサントリーの「金麦」。ミュージャシャンのトータス松本さんが旅やパーティを楽しむアサヒビールの「クリアアサヒ」。そして田村正和さんと仲間由紀恵さんがビールと間違うほど美味いというサッポロビールの「麦とホップ」・・・。

 このうちのどれか一つは、あなたも飲んだ経験があるのではないだろうか。

 毎年のように売り上げが減少する本家のビールや、4年前の課税強化で魅力の薄れた「第2のビール」である発泡酒とは違い、それほどまでに「第3のビール」は売れ行きが好調なのである。

 念のため、数字を示しておこう。業界団体「ビール酒造組合」によると、今年1~8月の累計出荷量(課税移出数量)は、ビールが前年同期比でマイナス3.9%の187万6438キロリットル、発泡酒が19%減の65万5768キロリットルにとどまったのに対して、第3のビールだけは同10.5%増の123万1649キロリットルと2ケタの拡大を続けている。

 こんな好調ぶりを見逃すワケがないのが、天下の秀才たちを集めた財務省だ。同省の幹部たちが今、最も強い危機感を抱いているのは、日本国の財政危機である。

 その危機感は、今夏、参議院選挙直前にもかかわらず、菅直人首相に対する強い影響力を行使して、消費税引き上げ発言をさせたほどである。

 それだけに、来月から販売価格の大幅引き上げが断行されるたばこに続いて、酒類への課税強化にも強い関心を持っている。

 筆者が確認を求めた財務省高官(政務3役の一人)は、前述のように、酒類に対する課税の強化に強い意欲を持っていることを隠そうともしなかった。

次ページ  この高官とのやりとりの詳細は…
1 2 3 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ