菅直人と小沢一郎、日銀をうまく操縦できるのはどちらか?
相変わらずトンでも発言を繰り返す白川総裁に政府も不信感

 民主党代表選が最終段階になっている。新聞報道では菅直人氏が若干リードしているというが、結末は9月14日まで誰もわからない。党員サポーターもその詳細を誰がきちんと把握しているのか。自民党員や外国人も含まれているらしい。野党時代のままの、かなり杜撰なもののようだ。

 一般人への調査をもとに、党員サポーター票を論じるマスコミが多いが、はたしてどうなるのだろうか。国会議員の中には隠れ小沢一郎支持がいて、彼らが陽動作戦に出ているという話もある。14日にふたを開けるまでまったくわからないというのが真実だろう。
そこで今回は、菅氏が勝った場合と小沢氏が勝った場合の為替相場を占うとしよう。

 まず、その前提として、頑迷固陋な日銀のスタンスについて触れておく。

 9日、国会閉会中審査が行われ、参議院財政金融委員会で白川方明日銀総裁が発言した。円高の要因については「米国経済を中心に世界経済の先行きをめぐる不確実性が高まるなか、投資家のリスク回避姿勢が強まり、相対的に安全な資産である円やスイスフランなどが買われている」とした。円高は投資家によるリスク回避の結果で、あくまで日銀の金融政策が原因ではないと説明したのだ。

 たしかに、ここ1ヵ月間を見ると、円もスイスフランも他国通貨に比べて高くなっている。下のふたつの図を見て欲しい。これだけを見れば、リスク回避かのように見える。

 しかし、先週のこのコラムで、他国通貨に対する円高の8~9割は、リーマンショック以降、他中央銀行が通貨量を拡大する中で日銀だけが拡大しなかったことで説明できるといった。前回紹介した二つの図を見てもらうと、動きがそっくりだ。

 スイスフランについても、同じ手法で描いてみた。

 最近では、スイスフランは高くなっているが、リーマンショック後を見ると、若干高くなっている程度だ。
 

 
次に、各中央銀行のバランスシートの動きをみてみると、それら二つの図はあまり似ていない。ちなみに、スイス銀行は、他の中銀と同様にリーマンショック以降にバランスシート拡大を行っている。


スイスフランが高くなっていることについて、通貨の相対的な存在量で説明できる部分は少ない。リスクの回避という説明はあたっているだろう。

閣僚がもらしたホンネ

 つまり円とスイスフランは違う要因で高くなっている。円については、ほとんど通貨の相対的な存在量で説明でき、日銀の失敗によって円高を招いたのだ。

 こうした日銀を、菅氏と小沢氏のどちらが上手く指導できるだろうか。

 菅氏は、代表選の終盤になって、ようやく円高問題の重要性に気がついてきたようだ。あまり報道されていないが、9日、官邸で開かれた「新成長戦略実現会議」(議長・菅直人首相)での、日銀総裁の対応に不満だったようだ。この会議に出席した白川総裁は、「需要を作るのは政府の役割であって金融政策には限界がある」という挨拶をした。会議に出席したある閣僚の一人は、「なんて危機意識のないやつなんだ」とつぶやいたという。初回会合だったので、その閣僚は発意を控えたが、政府内に無策の日銀への怒りがうごめいている。

 10日にそれが顕在化した。この日、月例経済報告等に関する関係閣僚会議において、直嶋正行経産相が「現在のドル/円レートが続くと多くの企業が海外に出て行き、下請けや中小企業に影響が大きい」と指摘。「G8やG20などの国際的な場で、為替に対する問題提起を強いメッセージとして発するべきだ」と発言したのである。

 これに対して白川方明日銀総裁が、為替介入にはコメントする立場でないと前置きした上で、「必要な場合には適切に対処する」と形式的に応じた。

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