雑誌
日本クルマ界ガラパゴス化事情
日本で生まれ、育ち、独自の進化を遂げた特殊な
自動車関連の技術・文化を紹介し、検証する!

ガラパゴスとは・・・
  生物学の場合でのガラパゴス諸島のように、閉じ込められたことで独自の進化を遂げた市場のこと。技術的には世界の最先端を走りながら特殊な規格のため諸外国で普及しない日本の携帯電話を指すためにできた新語。

 最近世間でよく耳にする「ガラパゴス化」。聞けば国内に閉じこもることで特殊な進化をとげた技術のことで、グローバル化が叫ばれる昨今、情報通信産業などでは問題視されているらしい。しかし「国内に閉じこもることで特殊な進化」といえば、まさに日本クルマ界はガラパゴス化の宝庫。

 今まさに、ジャパンブランドとして世界を相手に手広く商売しようってところ。それを問題視されてるっていうのは聞き捨てならん。さっそくクルマ界のガラパゴス事情を検証し、ホントに海外に通用しないのか、どれだけガラパゴス度が強いのかを検証しよう。独自の進化って悪いことばかりじゃないはずだ!

ガラパゴスファイル(1)  軽自動車

 日本独自といえば、軽自動車抜きには語れない。国民への自動車普及と戦後復興を目指して'49年に制定され、'58年のスバル360、'79年のアルト、'93年のワゴンR。時代にあわせて規格を拡大しつつも、厳しい制限のなかで最大限の居住性や性能を追求し、制定以来60年、独自の進化を遂げてきた。

デザイン、性能ともに、このサイズでは世界的に突出した進化を遂げている日本の軽自動車

 本企画では世界カー・オブ・ザ・イヤーの審査員も務めるピーター・ライオン氏に、ガラパゴス度合いを聞いてみた。

「日本の軽自動車はすばらしいです。世界中どこにだしても恥ずかしくないクォリティを持っており、性能やデザイン、多様性など総合的に考えると、マイクロカーカテゴリーでは世界一でしょう」

 絶賛のライオン氏だが、しかしではその軽自動車が「世界」に普及しているかというと、そうではない。なぜか?

「インドや東欧では日本の軽自動車をベースにしたクルマが健闘していますが、世界的にみるとまだ普及しているとはいえません。イタリアのフィアットの500、イギリスのミニ、ドイツのポロなど、欧州諸国でもコンパクトなクルマの需要があるんですよ。パリやミラノ辺りの都会なんかだと駐車しづらいですからね。

 軽が世界に普及しない一番の問題は、走行性能だと思います。日本の田舎道を40~70㎞/hで走るぶんには安定していていいけど、例えば欧州では100~140㎞/hのスピードで走らなければなりません。北米だとフリーウェイがあるからもっと平均使用速度域は高くなる。

 660㏄のエンジンじゃ力が足りないし、足回りもフワフワして心細い。もうちょっとダンパーやサスペンションを固めて、排気量も上げないと厳しいです。 さらにライオン氏は独自に発達したがゆえに特殊化したデザインにも言及する。

軽自動車の優遇税制は政界にも影響力のある鈴木修会長がカギ!

「個性的なのはいいんですが、タントとかワゴンRとか、特に箱型のクルマは寸詰まりでマンガチックに見えてしまい、欧州のユーザーには少し抵抗があるようです。機能性を追求しすぎているというか、なりふり構っていないからこそのスタイルだというのはわかるんですがね」

 グローバルカーとして軽自動車の潜在能力と可能性はありながら、世界で通用するためには排気量の小ささなどがネックになっているようだ。

 世界に通用させるために軽自動車規格の排気量を800㏄程度にするというのは古くから議論されているテーマではあるが、しかし、大々的に輸入するとなると今度は国内で「軽自動車だけ優遇税制を受けるのはおかしい」という批判を受けることになる。こうしたジレンマをどう解決するか。今後に注目だ。

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