古賀茂明(経産省キャリア)×長谷川幸洋(ジャーナリスト)「原発問題の裏にある経産省・東電『天下り・利権の構図』」
退職勧奨を受けた改革派官僚を直撃VOL.1
古賀茂明氏(左)、長谷川幸洋氏(右)

長谷川: 古賀さんは、6月24日に松永事務次官(松永和夫経産省事務次官)から退職勧告と受けたと聞いてます。その日の夜の『朝まで生テレビ』で初めてその話を公にされています。事務次官から、「早期退職勧奨を受けた」ということでしょうか?

古賀: そうですね。

長谷川: そもそも、今でも役所は、「退職勧奨ができる」のですか?

古賀: もともと民主党政権は、「早期退職勧奨をやると天下りを斡旋しなくてはならないので、退職勧奨は止めるべき」と、政策として掲げていたんですね。一時期は、禁止する法案を提出したこともあったほどです。つまり、本来は「早期退職勧奨はやらない」というのが民主党の建前なのですが、実際には政権についてからずっと行われている。なぜかというと、ウラで「天下り斡旋」があるからです。証拠はありませんが、斡旋がない限り、そんな干渉を受諾する人はいないですから。

長谷川: 実際には、天下りの斡旋を受ける代わりに、"肩たたき"に応じているということですね。でも古賀さんの場合は、天下り先はなく、文字通り「辞めてくれ」ということなんですか?

古賀: そうです。そもそも私は、天下りは絶対にしません。

長谷川: 国家公務員法上では、退職勧奨は、本人がイヤだと言ったら拒否できるんですよね?

古賀: できます。

長谷川: 古賀さんは今後どうしようと思っているのですか?

古賀: 現段階では回答は留保しています。ただ、もともと私は、「幹部職員が身分保障をされていて、絶対に辞めなくていい」というのはおかしいと思っています。幹部職員に対しては、身分保障をなくした上で仕事を評価をし、いつ首を切られても仕方がないという制度にしろと自分で言っていたので、クビにされること自体はあまり問題にするつもりはありません。

 ただ、大事なことは、政治主導において、大臣が政策に見合った布陣を作ることなんです。つまり、大臣の政策をきちんと行ってくれる官僚を集めて、実施できる体制にしなくてはいけない。ところが、官僚が、自分の役所のために働かない人間をクビにしたいがために大臣を使うのであれば、これは本来の趣旨とはまったく違うわけです。

 ですから、まずは、「身分保障をしない」というルールを作ることですね。そして、辞めさせる際の決まりを作ることです。「明日から来なくていい」というのではあまりにもひどいので、三ヵ月の猶予を与えるとか。僕はもともとクビになる覚悟があるから良いのですが、その後に続く人たちのことも考えたいなと思うのです。

海江田大臣は答えるべきだ

長谷川: 民主党政権は2年前の総選挙で「脱官僚」、「政治主導」という建前を掲げて300を越える議席を得ていますが、この主張の根幹に関わる問題ですね。

 また、原発問題においても、政権の根幹に関わる問題であると思います。原発事故は、地震や津波という自然災害が直接の引き金であったとはいえ、これだけの惨事に発展した遠因には、政、官、行、学、場合によっては報道も含めて、すべてがもたれ合いの関係になっていたことが背景にあるのではないでしょうか。

 つまり、古賀さんを経産省から追放しようとするのは、原発問題の根幹に関わることだと私は認識しています。実は、古賀さんの問題が28日に行われた海江田万里経産相の記者会見で取り上げられているんです。テレビ朝日の記者が一体どうするつもりなのか大臣に質問したところ、大臣の回答は、「私と話したい人がいれば、いつでも大臣室に来ていただき、お話するのはやぶさかではありません」ということでした。正直、記者の質問にまったく答えていないのですが、古賀さん自身も自分が"肩叩き"に遭った理由について真意を問いたいとのことなので、いずれ大臣と話し合う予定はありますか?

古賀: 大臣がそのようにおっしゃっているのであれば、出来ればお会いしてお話しさせていただきたいと思います。大臣は、地震や原発への対応でお忙しいだろうと思っていたのですが、前向きなお考えだということであれば、ぜひお話ししたい。

長谷川: 私たちメディアの人間としても、重要な問題だと思っています。海江田大臣は記者会見で質問を受けたわけですから、自分がどのようにこの問題をとらえているのか、考えを示すべきです。会見で問われた質問に対しては答える責任がありますよね。

 加えて、『朝まで生テレビ』でも言ったんですが、国会でもきちんと答えるべきですね。ある野党議員は、「この件について、国会で必ず質問する」と言っていますし、みんなの党では質問主意書を用意しているそうです。今回は、記者の質問から逃げたわけですが、いずれ国会で大臣としての考えも語らないといけないと思います。

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