中国
4年あまりで外相が7人変わった
日本の「線香花火外交」につきあう中国の裏側に「南沙問題」

松本剛明外相は、習近平副主席、戴秉国国務委員、楊潔篪外相との会談を終え、日本に帰国した〔PHOTO〕gettyimages

 7月4日、松本剛明外相は、習近平副主席、戴秉国国務委員、楊潔篪外相との会談を終え、日本に帰国した。本来なら、7月3日に楊外相と会談して、とんぼ返りする予定だったが、習副主席、戴国務委員が会見に応じることになり、国会が空転しているのをいいことに延泊したのだ。

 だが、松本外相が主張した、日本の農産品の禁輸措置解除、レアアースの正常輸出、東シナ海のガス田協議の再開という「3点セット」に対しては、中国側の明確な回答は得られなかった。加えて、この8月にも東京で行うはずの日中経済ハイレベル協議は、日本側が議題に載せることすらできなかった。

 この一連の会談から一週間を経たいま、今回の日中会談をお膳立てした日本の政府関係者たちは一様に、「徒労感が残ったのみだ」とこぼす。ホンネを言えば、「松本外相は、一体何しに来たのだろう?」という気持ちなのだ。

ワシントン訪問でも成果なし

 松本外相は、実は4月末に、今回と同じ'経験'をワシントンでしている。クリントン国務長官との会談に臨んだものの、菅首相の訪米、及び「2プラス2」(日米安全保障協議委員会)の再開という二つの重要日程を決められずに帰国を強いられたのだ。まさに、ワシントンの日本の政府関係者にしてみても、「外相は一体、何しに来たのだろう?」と、ポトマック河の畔でボヤいたことだろう。

 その後、「2プラス2」は6月21日に無事、開かれた。だが、「より深化し、拡大する日米同盟に向けて:50年間のパートナーシップの基盤の上に」「在日米軍の再編の進展」「在日米軍駐留経費負担」と題された3点の共同発表文書を精読すると、「5年の間、在日米軍駐留経費負担全体の水準が日本の2010会計年度の水準(日本の2010会計年度予算額1881億円が目安)に維持されることを確認した」「沖縄を含む日本における米軍のプレゼンスの重要性が高まっていることを強調した」など、アメリカの主張をそのまま受け入れたに過ぎない。これでは、「2プラス0」である。

 また、菅首相の訪米に関してはその後、国連総会がNYで開かれる9月という「仮日程」を、ようやくアメリカから出してもらった。だがこれは実質、「次期首相に来てほしい」と宣言されたに等しい。

 今回の松本外相訪中に関して、日本の政府関係者の寂寞とした心情は、痛いほど理解できる。何せ、松本外相の`上司`に当たる菅直人首相は先日、「近く退任する」と公言してしまった。となれば、松本外相も同時にお役ご免になる可能性が高い。

つまり、3月9日に就任したばかりのこの新外相は、就任わずか4ヵ月にして、早くもすでに余命幾ばくもない状態なのだ。そんな危うい立場で、アジア・ナンバー1の大国の首都に赴いて、一体どんな外交が展開できるというのだ?

 しかもバツが悪いことに、松本外相が北京で一連の首脳会談を行っている最中に、東京では同じ「松本」という名の大臣が、暴言を吐いて、大騒動に発展した。ご存知、松本龍前防災担当大臣である。北京で重要会談が行われている最中の政権不安が、その日の外交に影響を及ぼしてくることくらい、菅首相は思い至らないのだろうか? 

 私は、6月8日に訪中して楊潔虎外相と会談した、「カダフィの代弁人」ことリビアのオベイディ外相を思い出した。この夏の線香花火のような存在であるという意味では、ほとんど同レベルだ。

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